この記事の監修ドクター
産婦人科医 太田寛先生
アルテミスウィメンズホスピタル産婦人科(東京都東久留米市)勤務。京都大学電気工学科卒業、日本航空羽田整備工場勤務。東京医科歯科大学卒業後、茅ヶ崎徳洲会総合病院、日本赤十字社医療センター、北里大学医学部公衆衛生学助教、瀬戸病院を経て現在に至る。日本産科婦人科学会専門医、日本医師会認定産業医、医学博士、インフェクションコントロールドクターICD)、女性のヘルスケアアドバイザー、航空級無線通信士
妊娠中に起こる髪や肌の変化
そもそも妊娠中、髪や肌にはどのような変化が生じるのでしょうか。まずはそれを確認しておきましょう。
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一般的に、妊娠すると髪が伸びる期間(成長期)は通常より長くなるといわれています。これにより頭髪が少し太くなることに気付く人もいるでしょう。また、顔や手足、背中の体毛が濃くなる人もいます。それには妊娠中のホルモン分泌の変化が関係しています。
妊娠中は女性ホルモンの一種であるエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌量が増加することで、毛髪の成長期が通常よりも長くなります。つまり、成長を終えて抜けるはずだった毛が抜けずに残りやすくなるということです。その結果、妊娠中は一本一本の髪が太くなり、またなかなか抜け落ちないので毛量も多くなる傾向にあるのです。
妊娠15週ごろ、こうした変化に気付く人が多いとも言われます[*1]。ただし、この増毛効果は妊娠期間限定のもの。出産とほぼ同時に女性ホルモンの分泌量はいったん激減するので、それに伴い妊娠中、抜けずに残っていた毛髪が一気に抜けていきます。人によっては一時的な薄毛の状態になることもあるでしょう。個人差がありますが、その状態が産後数ヶ月~1年以上続くこともあります。lほとんどの場合は、3〜6ヶ月以内に元に戻ります[*2]。
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一方、肌はというと、こちらも妊娠によって体中の血液の量が増えたり、エストロゲンや同じく女性ホルモンの一種であるプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌量が増えることで影響を受けます。これらの変化により皮脂の分泌が増え、妊娠中は肌のハリやツヤが良くなるともいわれています。
しかし、いいことばかりではありません。エストロゲンには日光に対する肌の過敏性を増加させ、プロゲステロンにはメラノサイトを刺激する働きがあるのではないかともいわれているのです。
それにより発赤や炎症などの肌トラブルが起こりやすくなったり、メラニンの分泌が促されてシミやそばかす、色素沈着が生じやすくなったりすることも。また、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患がある人は妊娠してから肌の状態が悪化することがあったり、通常は肌トラブルの少ない人が妊娠中は湿疹やにきびに悩まされるようになるケースもあります。
つまり妊娠中の肌はハリツヤが良くなることもあれば、敏感で不安定な状態になることもよくあるのです。こうしたことから、妊娠中はスキンケア、ヘアカラー、パーマなど、肌に触れるものに注意が必要といわれることもあります。
妊娠中にヘアカラーやパーマをしたい!
ここまでで妊娠中の髪や肌の特徴を確認しました。ところでヘアカラーやパーマによって、おなかの赤ちゃん(胎児)は何か影響を受けるのでしょうか。
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カラー剤やパーマ液が胎児に与える影響については、くわしく調べた調査があまりないので、実はよくわかっていません。ただ、頭皮に傷などがなければそこから吸収される化学物質の量は少ないので胎盤まで届く量はさらに少なくなり、基本的には赤ちゃんに害を及ぼすことはないだろうと考える専門家が多いようです。
「妊娠中のヘアケア用品の安全性」と題したカナダの報告では、妊婦さんが自分でパーマ液を使用する場合、妊娠中に3、4回使用する分には問題ないとしています。また、同じ報告では、妊娠中の美容師が職業的にこうした製品を使用した場合でも、胎児に異常を引き起こす証拠はないとしています。ただし、妊娠中の美容師には手袋をして肌の露出を最小限に抑えること、十分な換気のうえで使用することなどを勧めています[*3]。
アメリカの大手総合病院・メイヨークリニックは、「妊娠中にヘアカラーをして大丈夫ですか?」という質問に対して、「理論的には皮膚から吸収するカラー剤やヘアスタイリング製品は限られているので、それらの化学物質が胎児に害を及ぼすとは考えられていない。ただ、妊娠中のヘアカラーの使用に関する研究は限られていて、安全と断言できるほどの証拠がないことを踏まえ、心配な人は、ヘアカラーやパーマ、トリートメントは産後にしたほうがよいかもしれない」としています[*4]。
一方、イギリスの国民保険サービス(NHS)では「妊娠中または授乳中に染毛剤を使用しても安全ですか?」という問いに対して、「たしかにヘアカラーに含まれる化学物質が害を引き起こす可能性はあるようだが、これは通常、女性が髪を染めるときに使用する量に比べて非常に高い濃度で使用した場合のことで、普通にヘアカラーやパーマをする分には妊娠中であっても安全だ」としています。ただ、「化学物質が赤ちゃんに影響を与える可能性が低くなることを期待して、多くの女性は妊娠12週くらいまではヘアカラーするのを待つ」とも記載しています[*5]。
上記から考えると、やはり妊娠中のヘアカラーやパーマが胎児に与える悪影響はそこまで心配しなくて大丈夫そうですが、こうした製品に含まれる化学物質が体に取り込まれるのをできるだけ避ける努力はしたほうがよさそうです。
美容院ではなく、自宅でセルフカラーリングをする場合は、以下の点にも気を付けたほうがよいでしょう[*4, 5, 6]。
・製品パッケージにある指示をよく守る
・手袋を着用する
・放置時間は最短で(長く放置しすぎない)
・換気の良い場所で行う
・できるだけ髪の毛にのみカラー剤を塗布し、頭皮や肌につかないよう注意する。また、肌についた場合はなるべく早くすすぐ
こうすることで、カラー剤やパーマ液から受けるリスクを、より減らすことができるでしょう。吸収される量から考えても、ほとんどリスクはないと考えられますが、それでも心配ならなるべく吸収量を減らすような方法で使いましょう。
妊娠中のヘアカラーやパーマで気を付けたい3つのポイント
以上を踏まえた上で、妊娠中にヘアカラーやパーマを行う際、気を付けたほうがよいポイントをいくつかご紹介します。
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最初にもお伝えした通り、妊娠中の肌は敏感で不安定な状態です。妊娠前は問題なく使えていたものでも、突然かぶれを起こす可能性は否定できません。
ヘアカラーにかぶれた状態になると、頭皮や髪の生え際、顔、首筋などの肌に、かゆみ、腫れ、発赤(赤み)、湿疹などの症状が現れます。そうした症状があれば、すぐに使用を中止しましょう。
ただし、中にはかゆみだけを感じる場合もあります。すると、ヘアカラー剤によるかぶれが生じていることに気付かず、使用を繰り返してしまうことも。その結果、徐々に症状が重くなったり、じんま疹や呼吸困難といった症状が突然起こる「アナフィラキシー」という重篤なアレルギー反応が現れたりすることがあり、とても危険です。
これまでに一度でもかぶれた人は、以後絶対にヘアカラーを使用してはいけません。また、ちょっとでも「おかしいな」と思うことがあれば、使用は避けましょう。
またそうした事態に陥らないためにも、使用前の皮膚アレルギー試験(パッチテスト)は有効です。面倒がらず、必ず行うようにしましょう。
加えて、「ヘアカラーやパーマによる胎児への影響は?」の項でお伝えした、手袋を着用するなどの注意点も併せてチェックしましょう。
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妊娠中は、においにも敏感になっています。カラー剤に含まれる成分以外に、発するにおいで気分が悪くなる可能性もあります。
サロンでカラーリングをしてもらう際には、妊娠中であることを担当の美容師さんに告げると共に、自分でも注意しておきましょう。セルフカラーリングの場合は、換気に十分を注意して行いましょう。
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化学成分やにおいもさることながら、じつは長時間同じ体勢を続けることで体調に影響が現れる妊婦さんも少なくありません。
この点についても、サロンでカラーリングをする際は美容師さんに妊娠中であることを伝え、放置時間中は立ち上がるなどの工夫をすることが大切です。
まとめ
妊娠中のヘアカラーもパーマも、胎児への影響はあまり心配しなくても大丈夫だということがおわかりいただけたでしょうか。においで気分が悪くなるなど、妊婦さん自身への影響は多少ありそうですが、個々の状況や体調などによって上手に工夫するようにしましょう
体調と相談しながら、できる範囲で、妊娠中もおしゃれを楽しめるといいですね。
(文:山本尚恵/監修:太田寛先生)
※画像はイメージです
"ヘア" - Google ニュース
March 31, 2020 at 01:24PM
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