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Thursday, April 30, 2020

新型コロナ:米、コロナで中国に報復論 トランプ氏「関税上げも」 - 日本経済新聞

新型コロナ:米、コロナで中国に報復論 トランプ氏「関税上げも」 - 日本経済新聞

【ワシントン=河浪武史】トランプ米大統領は4月30日、中国が初期対応を誤った結果、新型コロナウイルスが世界に拡散したとして、同国に報復措置を検討していると明らかにした。トランプ氏は関税引き上げに言及したほか、政権は損害賠償金の請求なども検討する。米国内の感染拡大の責任を中国に押しつける意図も強いが、対中関係の一段の悪化は米経済・社会の混乱を強めかねない。

トランプ大統領は中国への報復措置に言及した(30日、ホワイトハウス)=ロイター

トランプ氏は30日、ホワイトハウスで記者団に対し、中国への報復措置として「関税なら簡単にマネーを得られる」と言明した。米中は1月に関税合戦の休戦で合意したが、トランプ氏は「中国発の新型コロナで気が変わった」と発言した。米中外交筋によると、米政権は損害賠償金を中国に直接請求することも検討し、日欧などにも同調を求め始めているという。

一部の米メディアは報復措置の一環として、中国が保有する米国債の償還を拒否する可能性があると報じた。トランプ氏は記者団に対して「それも可能だが、強いドルを守る必要がある」と述べ、同案に対しては否定的な見解を示した。

米国は感染者数が100万人を超え、死者数も6万人を突破する。経済の落ち込みも厳しく、4~6月期の成長率は前期比12%減、年率に換算すれば40%ものマイナスになるとの予測がある。経済・社会の大混乱に対して「ホワイトハウスが新型コロナのリスクを軽視したからだ」と世論の批判が強まり、トランプ氏は危機感を強めている。

トランプ氏は30日、新型コロナの発生源を中国・武漢市内のウイルス研究所と断言した。起源説は定まっていないが、米政権は情報機関などを通じて発生源を調査しており、トランプ氏は証拠を「見た」と話した。ただ米情報機関を統括する国家情報官室(DNI)は、新型コロナを「人工的なものではない」と指摘。発生源も「引き続き厳密に調べる」とするにとどめている。

トランプ氏は11月の大統領選での再選を最優先課題とする。2016年の選挙では異端の対中制裁関税を公約して番狂わせの勝利を収めたが、今回も対中強硬論を強めて支持層を刺激する狙いがある。前回選挙で選対本部トップを務めたスティーブン・バノン氏は30日、「トランプ氏は戦時の大統領だ。新型コロナと中国共産党の2つと闘う必要がある」と主張した。

ただ、トランプ政権が新型コロナで中国に制裁措置を発動すれば、世界の混乱は一段と深まりかねない。全米商工会議所は対中制裁関税の一時棚上げを要求している。米国は抗生物質の36%を中国からの輸入に頼っており、クドロー国家経済会議(NEC)委員長ら穏健派には報復措置に慎重論が強い。

米国の対中強硬論は、日欧など同盟国にも波及する。主要7カ国(G7)は30日、電話形式で新型コロナの対策を教護する財務相・中央銀行総裁会議を開いた。主題の1つは中国勢の買収攻勢への対処策となった。議長国の米国は日欧各国に対し、中国勢の企業買収の審査を強めるよう要請した。国際協調の場を対中包囲網づくりに利用し始めている。

08~09年の金融危機時は、米国が中国に働きかけて首脳レベルでの20カ国・地域(G20)会議を開催し、財政協調などで早期の危機脱却につなげた実績がある。新型コロナ渦での米中対立の深まりは、世界的な経済・社会の復元の障壁となる。

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2020-05-01 03:42:31Z
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