大リーグで活躍し、ワールドシリーズやワールド・ベースボール・クラシック(WBC)も経験した松坂大輔(現西武)をして、「プロ入り後も重圧がかかる試合は経験したけど、いまだに、あれ以上に苦しい試合はありません」と言わしめる一戦だ。
「平成の怪物」を擁し、春夏連覇を達成することになる横浜(東神奈川)が、最大のライバル・PL学園(南大阪)と対した準々決勝。ドラマ続きだった第80回記念大会を象徴する名勝負となった。
先に仕掛けたのはPL学園。二回に松坂から一挙3点を先行した。重要な役割を果たしたのが、主将の平石洋介(前楽天監督)。三塁コーチに立ち、「いけいけ」「狙え狙え」などと声を出し、松坂の球種やコースを伝達したのだ。
「当時のPLでは代々やっていた。特別なことではない」と平石。すべてが当たったわけでも、伝わったわけでもない。中前安打で口火を切った5番大西宏明(元近鉄)は「僕は聞こえてへん」と否定する。
それでも平石は、あえて大きな声を出した。「自分にできることは何か。松坂攻略は難しい。だったら捕手を混乱させよう」と考えた。その狙いは的中した。
王者・横浜も黙っていない。こちらも主将の働きが反撃ののろしとなる。「ぼくの配球を読まれ、松坂に申し訳ないことをした」と責任を感じていた小山良男(元中日)が四回、2点本塁打を放った。
このとき、PL学園の選手は不思議な感覚に陥っていた。一塁ベンチで待機していたエースの上重聡(現日本テレビアナウンサー)などは、横浜に対して「お前ら、こんなもんやないやろ。来いよ、来いよ」という気持ちだったという。だから、2点を返されると、「来た、来たー!」と思った。「そうこなくっちゃ。それでこそ、横浜や」
両雄は春の選抜大会の準決勝でも対戦し、PLは2―3で逆転負けした。「あれから、いつも頭の片隅に横浜があった」と上重は言う。「こんな内容では勝てんぞ」「そんな打撃では松坂は打てん」。試合で快勝しても指摘し合った。
一方の横浜も「春の山と夏の山はまったく別物。一度下まで完全に下らないと、頂上まで登り切ることはできない」という渡辺元智監督の指導の下、一からチームを作り直してきた。
レベルアップした両雄の再対決は5―5で延長へ。十一回と十六回に今度は横浜が1点勝ち越しても、すぐに追いつかれる。「PLは本当に強かった。ぼくは途中から決着はつかないだろうと思っていた。十三回ぐらいから、再試合のことを考えていた」と松坂。
午前8時半に始まった試合は正午を迎えるころ、突然、決着の時を迎えた。途中出場の横浜・常盤良太が放った2点本塁打。三塁ベンチ前でキャッチボールをしていた松坂は、袖口でスッと目元を拭った。本人は人前での涙を否定するが、のちに常盤に「泣いたよー」と打ち明けている。
翌日の準決勝で松坂は先発登板を回避。横浜は明徳義塾(高知)に0―6とリードされたが、八、九回に計7点をあげて逆転サヨナラ勝ちする。京都成章との決勝は、松坂が無安打無得点試合という圧巻の投球で春夏連覇を達成した。スタンドで見届けた上重、大西らPL学園の選手は「やっぱ松坂は化けもんやな」と顔を見合わせたという。=敬称略(編集委員・安藤嘉浩)
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August 19, 2020 at 08:08AM
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松坂が最も苦しんだPL戦 延長17回、仲間のHRに涙 - 朝日新聞デジタル
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