香港の医学史上、最も早期に起きた大事件はペストの流行だ。1894年に最初の感染者が確認され、終息したのは約30年後の1923年。香港だけで２万人以上が感染し、死亡率は９割を超えたという。その戦いの歴史を今も伝えるのが香港医学博物館だ。香港島西部の山の中腹にある。
元々は英国植民地時代の1906年に設立された細菌学研究所。付近は当時、不衛生な環境で中国人らが密集して暮らす地域で、ペストの発生地と見なされていた。
館内はペストの調査や、ワクチンの開発、2002～03年に流行した重症急性呼吸器症候群（ＳＡＲＳ）抑制の取り組みなどを展示。日本の細菌学の父、北里柴三郎氏らが1894年に香港でペスト菌を発見したこと、旧日本軍占領時代に一時接収されたことなども伝える。中国的要素を取り入れたバロック様式の建造物は文化財に指定されている。必見だ。（輝）
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October 13, 2020 at 10:11PM
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