宇宙飛行士の野口聡一さん(55)らを乗せた米スペースX社の新型宇宙船クルードラゴンが日本時間16日午前9時27分、米フロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げられる。民間が開発した初の本格的な有人宇宙船で、今回が運用段階の1号機だ。宇宙開発の新時代を開く重要な打ち上げとして世界的に注目が集まっている。
野口さんは午前6時過ぎ、同乗する米国の飛行士3人とともに発射台へ到着。手を振って宇宙船に乗り込んだ。
打ち上げるのは全長70メートルの大型ロケット「ファルコン9」。クルードラゴンは先端部に搭載されており、打ち上げの約12分後に分離され、高度約400キロの国際宇宙ステーション(ISS)に向かう。
新型宇宙船に搭乗する日本人は野口さんが初めて。同乗するのは米航空宇宙局(NASA)のマイケル・ホプキンス船長、ビクター・グローバー操縦士、シャノン・ウオーカー飛行士。ホプキンス、グローバー両氏は米軍のテストパイロット出身だ。
野口さんは船長や操縦士と密接に連携し、宇宙船の飛行状況を監視する「ミッションスペシャリスト」の役割を担う。クルードラゴンは今年5月に打ち上げた試験機に米国の2人が搭乗しており、米国人以外で搭乗するのは野口さんが最初になる。
打ち上げの様子はインターネットのNASAテレビで中継され、産経ニュースでも速報する。打ち上げは悪天候の影響で1日延期された。
野口さんは今回が3回目の飛行。2005年の初飛行は、米スペースシャトル「コロンビア」が空中分解し7人が犠牲になった03年の事故後、最初のシャトルだった。09年には日本人で初めてロシアのソユーズ宇宙船でISSに出発。そして今回も、日本人初の大役を任された。
野口さんは「時代の変わり目に、挑戦に足る重要なことを背負うのは極めて光栄なこと」と話す。日本人として最高齢での宇宙飛行でもあり、多くの経験を積んだベテランとして存在感を発揮しそうだ。
先輩飛行士の若田光一さん(57)は、野口さんについて「本当に素晴らしい飛行士。経験豊富で技術的に優れ、ユーモアがあってみんなを笑わせる能力にたけている。ぜひ活躍してほしい」とエールを送る。
スペースXは電気自動車大手テスラを経営する起業家イーロン・マスク氏が創業したことで知られ、世界的な宇宙企業として急成長を遂げている。無人宇宙船ドラゴンを開発し、ISSへの物資輸送で多くの実績を挙げてきた。
この経験を生かして開発したのが有人版のクルードラゴンだ。11年に退役したスペースシャトルの後継機として、NASAの委託を受けて開発した。今年5月に打ち上げた試験機で有人飛行と帰還に成功。これを受けて今回、初の実用飛行に踏み切る。
今回の打ち上げはシャトルの廃止後、飛行士の輸送をロシアのソユーズに依存してきた米国にとって、自国で本格的な有人飛行を再開するための重要な一歩。民間の宇宙飛行ビジネスが軌道に乗るかどうかの試金石にもなりそうだ。
2020-11-15 22:11:00Z
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