【ジュネーブ=杉野謙太郎】世界保健機関(WHO)は30日、新型コロナウイルスの発生源を巡る中国湖北省武漢市での現地調査に基づく報告書を公表した。最初に感染者が確認された2019年12月の数週間前からウイルスが広がっていた可能性を指摘し、中国側に追加の血液サンプル調査などを勧告した。
報告書では、中国が発生源となった可能性を排除しなかった。調査団を率いる感染症専門家のピーター・ベンエンバレク氏はこの日の記者会見で、今後の研究の焦点として「引き続き武漢に注目している」と述べた。最初の感染確認前にウイルスが広がっていたかどうかを調べるため、今後、19年9月にさかのぼって武漢の血液サンプルの抗体検査を行うことなどを勧めた。
ウイルスがコウモリから別の動物を介してヒトへと感染した仮説について、「可能性が高いか、非常に高い」と記載した。調査では中間動物は特定できなかったが、ミンクやセンザンコウなどが感染経路に介在した可能性があるという。
中国側が主張してきた、冷凍食品にウイルスが付着していたとの仮説は、「可能性がある」と検討の余地を残した一方、武漢の研究所からウイルスが流出した可能性については、「極めて考えにくい」と否定的な見方を示した。
WHOが組織した専門家調査団は今年1~2月に現地調査を行い、終了後、中国側と共同で報告書を執筆した。
2021-03-30 15:41:07Z
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