去る1月20日就任以来、順調な滑り出しを見せたかに見えたバイデン大統領。だが、身内のはずの民主党上院議員が一人立ちはだかり、政策運営に支障を来すなど、その存在に頭を痛めている。
ジョー・マーチン氏(AP/AFLO)
今、ワシントンで最も恐れられる政治家―それは間違いなく、民主党保守派のベテラン、ジョー・マンチンJoe Manchin3世上院議員(73)だ。
炭鉱業を主産業とする保守体質の濃厚なウェストバージニアで生まれ、育ち、ウェストバージニア大学卒業後、地元政界入り、その後は州務長官(2001-2005)、州知事(2005-2010)をへて2010年連邦上院議員に初当選以来、今期3期目を務める。州知事時代には、人望も厚く全米州知事会会長をつとめたこともある実力者として知られた。本人は自らの政治的立場を「穏健保守liberal conservative」と位置付け「進歩派progressives」と距離を置くが、上院では「最も保守的民主党議員」との呼び声高い。
実際、過去の上院本会議での行動歴を見ると、トランプ共和党政権が打ち出した「オバマケア」廃止法案には反対したものの、「銃砲規制」「妊娠中絶」など民主党が推進する多くのリベラルな政策には異議を唱えてきた。一昨年、セックス・スキャンダルで話題となった保守派のブレット・キャバノー連邦最高裁判事任命の承認審議では、民主党議員全員が承認に反対する中で、一人だけ支持票を投じた。
ウェストバージニアは2020年大統領選では、トランプ氏が70%超の得票でバイデン氏押さえ勝利するという全米有数の保守体質を濃くした州だけに、マンチン議員のこうした政治スタンスは、以前からある程度予想されたことだった。
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