Nippon News Network(NNN)
台湾でおよそ500人が乗っていた特急列車が脱線する事故があり、50人が死亡、台湾史上最悪の鉄道事故となっています。 ◆“台湾史上最悪”の鉄道事故 事故から10時間以上が経過した台湾の脱線事故。工具で車体を切断し、災害救助犬とともに狭いトンネル内の捜索など、夜も救助活動が行われていました。 「4号車の人、4号車の人、脇から出られます」「4号車の人、全員出られましたか」 事故発生直後に撮影された映像では、乗客とみられる人が周囲に声をかける様子が捉えられていました。 「ここから降りてください。芝生に行けますけどどうします」 「感電しない?」 「大丈夫、さっき他の人が歩いていたから」 奥には、押しつぶされトンネルの壁と接触する車両が見えます。先頭部分が原形をとどめていない車両も。 乗客「列車は突然、緊急ブレーキをかけて、すごく揺れたんだ」 乗客「私は前にぶつかって意識を失っていた」 トンネルの外、列車の上では、手をつなぎ慎重に歩く乗客たち。 「気をつけて、おろして」 乗客「両サイドに道がなかったので、車両の上にのぼって歩くしかなかった」 事故が起こったのは台湾東部の花蓮県にある海沿いの山に囲まれた場所です。台湾メディアなどによりますと、特急列車がトンネルの入り口付近で工事車両に衝突し脱線しました。 この事故で運転士を含む50人が死亡、146人の負傷者が出ていて、メディアは“台湾史上最悪”の鉄道事故と伝えています。 台湾鉄道局・副局長「負傷者の中に日本人は2名」 外務省によりますと、列車に乗っていた日本人2人は50代の男性と20代の女性で、いずれも軽傷、命に別条はないということです。 そして、乗客からはこんな声も── 乗客「トラックに衝突したんだ。トラックが上から落ちてきた」 ◆「トラックが上から落ちてきた」 “トラックが上から落ちてきた”とは、一体、どういうことなのか。 事故現場を上から見てみると、黄色いショベルカーが2台あるのがわかります。そして、特急列車の上の斜面には、木がなぎ倒されたような跡が。事故の原因は、この場所から工事用のトラックが落下したことだとみられています。 台湾の警察などによりますと、当時、トンネル付近の土手には工事用のトラックが停車。運転手が降りると無人のトラックが動き出し、およそ10メートルの高さから線路に落下したといいます。そして、時速120キロで走行中の特急列車と衝突したということです。8両編成の列車は、そのままトンネル内へ。特に先頭から4両が大きく破損する事故となったといいます。 線路脇に残された“トラックの破片”について、台湾メディアのCTiは「このトラックの写真がGoogleマップで見つかりました。トラックの形やナンバープレートも同じです」などと放送。 現地メディアが指摘したとみられるトラックをGoogleストリートビューで見てみると、ラインの感じなどがよく似ているトラックがありました。 長期的に工事現場に駐車していたというトラック。当局は、トラックの運転手が工事現場を視察する際にトラックをこの土手に駐車し、サイドブレーキをかけ忘れた可能性があると指摘しています。 ◆路線は日常的な足…連休で“満席”にも この路線を20年以上利用しているという人に、この路線について聞いてみました。 ──どのくらいの頻度で利用されてるんですか? 「私はいつもだいたい一週間に一度(台北と花蓮県を)往復しています。きのうも台北に帰るのに利用しました。きょうの事故を知ってびっくりしました」 ──台湾の皆さんにとってこの路線はどういう存在? 「観光客と帰省とビジネスの利用が多いです」 日常的に多くの台湾の人の足となっているこの路線。さらに── 「ちょうど今は台湾は墓参りの時期で帰省する人が多い。連休が5日間もあるので、東(花蓮県方面)へ観光する人も多い」 台湾では日本のお盆休みにあたる連休が始まっていて、列車には帰省客などおよそ500人が乗っていました。 列車の車掌「満席で席がない客もいたよ」 乗客「たくさんの人がまだ残されているよ」 ◆なぜここまで被害は大きくなったのか 50人が亡くなった“台湾史上最悪”の鉄道事故。事故以前に撮影された現場付近を走る列車からの映像を見ると、正面には事故現場のトンネル、その右横にはトラックが落下した崖が見えます。線路はゆるやかなカーブを描いていて、トンネルを目視してから突入するまでに、わずか5秒ほどしかありませんでした。 狭く、圧迫感も感じるトンネル内。鉄道ジャーナリストの梅原淳氏は、この『トンネル』がここまで被害を大きくした要因だと指摘します。 梅原淳氏「衝突した衝撃で脱線しながらトンネルの壁にぶつかっている。一本の線路しかないので、両脇に壁が接近してるので余計に被害が大きくなった」 そして、事故が起きたあとの救助する際にも、トンネル内が狭く、通る道をふさいでいるため、通常よりも時間がかかるといいます。 梅原淳氏「トンネルという暗くて狭い空間なので、きわめて救助は困難。(救助)車両も通れないしトンネルの脇も通れないから、避難も屋根をつたっていくしかない」 現在、救助活動は終了し、現場の復旧に向けた作業が続いているということです。 4月2日『news zero』より。
2021-04-02 16:46:19Z
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