
【ワシントン=中村亮、ニューヨーク=吉田圭織】イスラエルとパレスチナの交戦をめぐり、バイデン米政権に米国内外から批判が相次いでいる。16日の国連安全保障理事会ではイスラエル寄りの姿勢を示し、停戦を呼びかける声明に賛意を示さなかった。同政権が掲げる多国間主義は早くも試練に直面している。
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パレスチナ自治区ガザへのイスラエル軍の空爆は続いており、一連の攻撃によるパレスチナ側の死者数は200人近くに上る。イスラエル軍はガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスの拠点を攻撃対象としているものの、子供などの一般市民の犠牲者が増えている。
安保理は16日、パレスチナ情勢をめぐるオンラインの公開緊急会合を開いた。会合ではイスラエルとパレスチナに即時停戦を求めるべきだとの意見が相次いだが、安保理の全15カ国の同意が必要となる声明発表を同日時点で見送った。安保理外交筋によると、米国が「現在の外交努力の助けにならない」として慎重姿勢を示しているのが理由という。
中国の王毅(ワン・イー)国務委員兼外相は安保理会合で米国を念頭に「残念ながらある国の反対で安保理全体としての声明を発表できていない」と批判した。メキシコは「安保理が国際平和と安全保障を保証する役割を担えないことに失望している」と米国への不満をにじませた。
バイデン政権は国連を舞台にした国際協調を重視する立場への回帰を目指してきた。「唯一の競争相手」とみなす中国に対する国際包囲網を構築する狙いがあるが、イスラエル政策を巡っては立場が逆転している。
イスラエル擁護は、バイデン政権が対中政策の一環で進める人権外交とも矛盾しかねない。パレスチナ側はイスラエルによるガザへの空爆について「戦争犯罪」と非難。空爆が長期化すればガザで一般市民の犠牲が増えることは避けられない。
米国のイスラエルに対する姿勢は近年、政権が代わるたびに大きく変化してきた。オバマ元政権は15年にイランと核合意を結び、同国と敵対関係にあるイスラエルとの関係が悪化した。逆に、トランプ前政権はイスラエル寄りの姿勢を鮮明にし、パレスチナ向けの資金支援を停止したほか、イスラエルとパレスチナが帰属を争うエルサレムに在イスラエル米大使館を移転した。

バイデン氏はイスラエル政策で両政権の中間の立場を探っているが、身内の民主党からも批判の声が上がる。同党リベラル派のイルハン・オマル下院議員はイスラエルによるガザ空爆について「テロ行為」とツイッターで痛烈に批判した。
野党・共和党からはバイデン政権のイスラエル擁護の姿勢が弱いとの批判が強まっている。トランプ前大統領は「バイデン氏の弱腰姿勢やイスラエル支持の欠如が同盟国に対する新たな攻撃を招いている」と非難した。テッド・クルーズ上院議員はイスラエルとの連帯を示すために近く同国を訪れる方針を示している。
2021-05-17 13:35:37Z
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