自称「出場選手で最も体の弱い男」重永亜斗夢(32=ホームテック)が鉄腕アトムの入場曲に乗り、首位と4打差12位から1打差2位に浮上した。

難易度の高い469ヤードの16番パー4と194ヤードの17番パー3を含む上がり3連続バーディーのフィニッシュで66をマークした。「めちゃくちゃたまたまです。本当にたまたま」と声を大にして、偶然を強調した。しかし、ボギーは3日間54ホールで、第1ラウンドの1個だけだ。

根っからネガティブ志向が強い。「このコースは僕に絶対に不向き。間違いなく飛ばし屋有利」。前回の19年大会から全長で107ヤード伸びた。クロスバンカーも改造された。「バンカーの先まで、だいたい270~280ヤードが多くて、そこまでならちょうど入る。それ以上に飛べば、フェアウエーが結構広い。僕は本当に狭いスペースを狙っていかなきゃいけない。本当に嫌だな~って思う」。

極め付きの発言は「この大会に出ている選手で、一番体が弱い」-。超細身の172センチ、60キロ。難病指定の潰瘍性大腸炎を患うなど体調との闘いがつきまとってきた。

「今回は準地元なんで」。熊本生まれで、福岡・沖学園高出身。お世話になっている薬品会社の会長が「これを飲みなさい!」とドリンクを差し入れてくれる。この日、自分の組についたギャラリー整理の女子高生ボランティア2人は、高校のゴルフ部の後輩だった。「コースに関しては正直諦めてるんですが、そこを周りのサポートが上回ってくれてるのが、今の位置ってことです」。周囲にひたすら感謝した。

体は弱いが、名は亜斗夢=あとむ。でも、スタート時の選手紹介で流れる自選の入場曲は、当然「鉄腕アトム」。18年4月東建ホームメイト杯以来の2勝目がかかる最終日。「自分で考えて、徹底してプラン通りにやるしかない。あとは熱中症に気をつけて」。体の弱いアトムが10万馬力? で戦い抜く。