一方で、今回の受け入れ再開を、素直に喜ぶことができていない人もいます。
イタリアの大学院で日本語と日本文学を専攻しているジュリア・ルッツオさん(27)です。
日本政府の奨学金に応募して、日本文学の博士号の取得を目指そうと、交換留学生として日本で文献収集を行い、応募の準備をする予定でした。
しかし、1年半以上にわたって日本に行けなかったため、質の高い文献などに当たれず、奨学金の応募に向けた準備がほとんどできなかったといいます。
Q.
留学生をはじめとする外国人の受け入れが再開されることになりました。どのように受け止めていますか。
A.
正直、複雑な気持ちです。いつ留学生の受け入れを再開するかという情報がなかったので、手続き上の都合で11月1日に日本のビザの発給に必要な書類を返納しなければならなかったからです。
もし返納していなければ、日本に行って、奨学金の申請に必要な研究の準備ができたと思います。
今回の受け入れ再開の発表が急すぎて、留学生が困らないよう見通しを先に示してほしかったです。
Q. この間、どのように過ごしてきましたか。
A.
将来、翻訳家として日本で働くのが私の夢で、日本へ行くことが憧れです。
一方で、いつまで待てばいいのか、私の将来はどうなってしまうのか、といったことがとても不安でした。まわりから「日本に留学できないなら、別の国に変更したら?」と言われたこともありましたが、私がしたいのは、日本語と日本文学を学ぶことなんです。
不安になると、大好きな桐野夏生さんなどの小説を読んで、モチベーションを保とうとしていました。
Q. いちばん大変だったことは何ですか。
A. 交換留学生が受け取る奨学金をもらう予定でしたが、「ことし8月中に日本にいなければならない」という理由で、1円ももらうことなく、資格を失いました。今後、日本に行けたとしても、すべて自費でまかなわなければなりません。
奨学金の資格がなくなったと知ったとき、「私が何をしたのだろう」と思い、突然泣いてしまうほど、つらかったです。
今も3つのアルバイトを掛け持ちしながら、日本で生活する場合に備えてお金をためています。
Q. 今後はどうする考えですか。
A.
もし日本政府の奨学金がもらえなければ、ほかのアジアの国の大学院で、日本文学が研究できるところがないか考えています。それも難しい場合に備えて、日本語学校に行くことも検討しています。
正直、自分の今後の人生は全く分かりません。ただ「日本の大学院で日本文学を研究する夢」を実現するのは非常に困難だと思っています。
2021-11-05 12:04:52Z
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