2007年、長崎市原爆被爆対策部長を務めていた男性幹部(死亡)から取材中に性暴力を受け、別の男性幹部による虚偽情報の拡散など二次被害にも遭ったとして、女性記者が市に約7400万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決で、長崎地裁は30日、市に約1975万円の賠償を命じた。
天川博義裁判長は判決理由で、幹部による違法な性暴力があったと認定した上で「取材に協力する態度を示して、記者に会うことを求め、性暴力に及んでおり、職務関連性がある」と市に責任があると判断した。
虚偽情報拡散についても「虚偽であることは明らか。二次被害が生ずることがないよう配慮すべきで、市は注意義務を負っていた」と指摘。慰謝料500万円や、休職中の損害1千万円余りなどの賠償を命じた。市広報などへの謝罪広告掲載の請求は退けた。
訴状によると、女性は07年7月、長崎原爆の日の平和祈念式典に関する取材の際、幹部から性暴力を受けた。心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断され、休職や入院を余儀なくされた。幹部は同年秋、市の内部調査を受けた後に死亡。自殺とみられる。その後、別の幹部が記者に責任転嫁する虚偽の話を広め、女性は誹謗中傷の被害に遭ったとしている。
訴訟を巡っては、提訴後の19年7月、市議会で「被害者はどっちだ」と原告を中傷するやじがあった。昨年10月には田上富久市長も出廷。二次被害防止に「一貫して取り組んできた」と話した。(共同)
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2022-05-30 03:19:00Z
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