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Wednesday, December 21, 2022

米国・ウクライナ首脳会談へ、パトリオット供与 - 日本経済新聞

米国・ウクライナ首脳会談へ、パトリオット供与 - 日本経済新聞

【ワシントン=坂口幸裕】米政府は21日、バイデン大統領が同日午後(日本時間22日未明)にホワイトハウスでウクライナのゼレンスキー大統領と会談すると発表した。長距離の地対空ミサイル「パトリオット」を含む追加の軍事支援を伝える。ロシアがウクライナ侵攻を始めた2月24日以降、ゼレンスキー氏が外国を訪れるのは初めてとなる。

ゼレンスキー氏はバイデン氏との会談後、米連邦議会の上下両院合同会議で演説する。米国による軍事・経済支援などに謝意を示すとともに、これからも超党派による手厚い支援を継続するよう呼びかける見通しだ。21日、「ウクライナの防衛能力強化を協議するため米国に向かっている」とツイッターに投稿した。

ホワイトハウスのジャンピエール大統領報道官は21日の声明でバイデン氏がゼレンスキー氏を招請した目的について「経済、人道、軍事を含め必要な限りウクライナを支援する米国の揺るぎない関与を示すものだ」と記した。

米政府高官は20億ドル(約2600億円)規模の追加の軍事支援を実施すると記者団に説明した。防空体制の強化をめざすウクライナがかねて求めていたパトリオットを初めて供与する。発電所などの重要インフラを標的にするロシアのミサイル攻撃に対抗する。

パトリオットは米軍の主力防空システムで、短距離弾道ミサイルや巡航ミサイル、一部の航空機などを高い精度で迎撃できる。超低高度から高高度の複数目標に同時で対処可能になる。1991年に湾岸戦争で使用された。

これまで米国がパトリオットを供与したのは北大西洋条約機構(NATO)加盟国のほか、日本やイスラエルなど同盟国が目立つ。ウクライナ軍は第三国で訓練を受ける計画だ。ウクライナの自衛能力を高める狙いだが、ロシアの反発は必至だ。

ゼレンスキー氏がこのタイミングで訪米するのは、2023年1月に始まる新議会で下院の多数派になる野党・共和党を意識したとみられる。党内には「ウクライナは重要だが白紙の小切手は切らない」(下院共和トップのマッカーシー院内総務)などと巨額予算の見直しを求める声があるためだ。

議会で審議中の23会計年度(22年10月~23年9月)予算案には449億ドル(約6兆円)の対ウクライナ支援が入った。与党・民主党は週内の成立をめざしている。

ロシアによる侵攻から10カ月が経過し、ウクライナは米欧などで指摘される「支援疲れ」に危機感を強める。ゼレンスキー氏はまず最大の後ろ盾である米国に足を運び、米世論に支援継続を訴える狙いがにじむ。

米高官は記者団からバイデン氏が首脳会談でロシアとの対話を促す可能性があるかと問われ「ゼレンスキー氏に圧力をかけたり、交渉のテーブルにつくよう求めたりするつもりはない」と述べた。将来的に想定される停戦協議でウクライナが優位に立てるように同盟国と軍事支援を続ける必要性を強調した。

バイデン氏は今月1日、ロシアがウクライナへの侵攻を終結させる意思があるのならプーチン大統領と対話する用意があると表明した経緯がある。「ロシアと直接戦うためにウクライナに米軍を派遣することはない」(同高官)との立場は堅持する。

バイデン氏は大統領就任後、まだウクライナを訪れていない。同氏のジル夫人は5月にウクライナを訪問し、ゼレンスキー氏のオレナ夫人と面会した。7月にはオレナ夫人が訪米し、ホワイトハウスで大統領夫妻と面会。議会演説では防空システムの供与などを要請した。

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2022-12-21 06:00:00Z
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