ロシアのウラジーミル・プーチン大統領を狙ったドローン(無人機)攻撃があったとロシア政府が主張している問題で、アメリカ政府は4日、関与を否定した。プーチン大統領の報道官が、「クレムリン(ロシア大統領府)へのドローン攻撃はウクライナがアメリカ政府の支援を受けて実行した」と主張したのを受けてのこと。
ロシア政府は3日、クレムリン(ロシア大統領府)を狙った2機のドローンを撃墜したと発表した。ウクライナがプーチン大統領を暗殺しようとしたと非難している。ウクライナは一切の関与を否定し、ロシアがこれを口実に戦争の激化と拡大を図っていると反論している。
ロシア政府のドミトリー・ペスコフ大統領報道官は4日、モスクワ中心部にあるクレムリン(ロシア大統領府や大統領官邸などが入る)への攻撃は3日早朝に起きたと述べ、アメリカが関係しているのは「間違いない」と主張。ただし、証拠は示さなかった。
「このような攻撃について決定するのはキエフ(キーウのロシア語読み)ではなく、ワシントンだ」とペスコフ氏は強調した。
これに対して米国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー戦略広報調整官は記者会見で、「ばかげた主張だ」、「ペスコフはうそをついている。それだけのことで、単純な話だ」と述べた。
「アメリカは何も関係していない。いったい何が起きたのかさえはっきりと分かっていないが、アメリカは何の役割も果たしていない。そのことは保証できる」と、カービー氏は述べた。
カービー調整官はさらに、アメリカ政府はウクライナによる自国外への攻撃を奨励も支援もしていないと説明。個々の国家首脳への攻撃も支持しないと話した。
ソーシャルメディアで拡散している動画には、クレムリンから煙が上る様子や、大統領官邸の入る旧元老院の上で小規模な爆発が起きる様子が映っている。旧元老院のドーム屋根を男性2人が登ろうとしている様子も見える。
これについてウクライナは、ロシアによる自作自演の偽旗作戦だと非難している。他方、クレムリンを脆弱(ぜいじゃく)に見せる攻撃をロシアが自作自演するメリットを疑問視する声も上がっている。
ウクライナに対するロシアの攻撃は続いており、3日には南部へルソンで駅やスーパー、集合住宅などが砲撃され、21人が死亡した。ただし、本格的な攻勢の激化の様子はまだみられていない。
ゼレンスキー大統領は対ロ特別法廷を要求
こうした中でウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は4日、オランダ・ハーグの国際刑事裁判所(ICC)を訪れ、ロシアによる「侵略の犯罪」を裁く特別法廷の設置を求めた。
ICC訪問後の演説でゼレンスキー氏は、ロシアがウクライナで戦争犯罪を繰り返していると述べ、「国際法の首都」においてプーチン氏が「自らの犯罪行為について罰の言い渡しを受けるべきだ」と主張。開戦間もなく首都キーウ近郊ブチャを占領したロシアが、民間人を多数殺害したと指摘し、東部ドンバス地域でロシアが「数百万回」もの砲撃を重ねていると述べた。
ICCは今年3月、ウクライナ侵攻をめぐる戦争犯罪容疑で、プーチン大統領らに逮捕状を出した。ロシアが占領したウクライナの地域から子どもたちをロシアへと不法に移送しており、プーチン氏にこうした戦争犯罪の責任があるとしている。また、ロシアが全面的な侵攻を開始した2022年2月24日から、ウクライナで犯罪が行われていると指摘している。
ただし、国家間の侵略行為について訴追する権限をICCは託されていない。
2023-05-05 02:06:21Z
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