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Saturday, May 20, 2023

インドのモディ首相はファッションにこだわる「仕事の虫」…イメージ戦略の狙いは? - 読売新聞オンライン

インドのモディ首相はファッションにこだわる「仕事の虫」…イメージ戦略の狙いは? - 読売新聞オンライン

 広島で開かれている先進7か国首脳会議(G7サミット)には、メンバー国以外の招待国首脳も参加する。その1人が、14億人超を抱える大国インドのナレンドラ・モディ首相(72)だ。モディ氏の知られざる一面からは、したたかなイメージ戦略がにじむ。(ニューデリー支局 浅野友美)

 多くの首脳がスーツに身を包む中で、まず目を引くのが、モディ氏の白を基調とした装いだ。「クルタ」と呼ばれる南アジアの伝統的な民族衣装で、立て襟と、太ももから腰にかけた長めの丈が特徴だ。風通しがよく、酷暑のインドでも快適に過ごすことができる。

 広島では長袖姿のモディ氏だが、普段は半袖のクルタを愛用している。若者らから「モディ・クルタ」と親しまれ、半袖クルタはヒット商品にもなった。クルタの下に履く「チュリダール」と呼ばれるズボンも、ダボダボとした緩やかなデザインが標準だが、モディ氏は足に密着したタイプを愛用しており、人気を集めた。

 インドの男性政治家は、白い質素な服を着るのが一般的だが、モディ氏は鮮やかな色彩の服も着ており、個性がにじむ。モディ氏は、ファッションリーダーとしても、国民の心をつかんでいるのだ。

 モディ氏は、過密なスケジュールをこなす「仕事の虫」としても有名だ。毎週のようにインド各地に飛び、国民と交流したり、公共施設の起工式などに出席したりしている。地元メディアによると、今年4月には、国内7都市を一挙に訪れ、5000キロ余りの距離を計36時間かけて移動した。

 広島でもその勢いは衰えない。20日は、午前7時半ごろには岸田首相との会談を開始し、G7首脳と招待国首脳らによる会合などを分刻みでこなした。

 地元メディアは「モディ氏は1日に2時間程度しか寝ないこともある」と伝える。外遊先でも日課のヨガを欠かさないなど健康維持にも余念がない。モディ氏側近は本紙に対して、「着替えもゆっくりできないほどの忙しさのこともある。本人は疲れを知らないので、ついていくのが大変だ」とこぼした。「2時間睡眠」の真偽は不明だが、こうしたエピソードが与える印象が、精力的なリーダー像であることは間違いないだろう。 

 モディ氏は、紅茶売りから首相に上り詰めたことで知られる。自らを「小さな町の貧しい家庭に生まれた少年」と語るのは、庶民性をアピールするためだ。モディ氏は、政治家としてイメージ戦略の重要性をよく知っているのだ。

 19日夜、広島に到着したモディ氏は大勢の在日インド人に歓迎された。翌朝向かったのが、広島市の平和記念公園内で行われたインド独立の父、マハトマ・ガンジーの胸像の除幕式だった。

 ガンジーは非暴力・不服従を唱えて、英国からの反英独立闘争を率いた。胸像は、モディ氏の広島訪問に合わせて、インド政府が寄贈したものだ。モディ氏は式典後、ツィッターに「ガンジー翁が唱えた平和と調和の哲学は、世界中に響き渡り、数百万人に力を与えることでしょう」と投稿した。

 ガンジーの胸像を寄贈した狙いについて、インドのメディア関係者は「ガンジーは『インド独立の父』だ。インドが独立した存在として、国際社会に占める地位の重要性を世界に発信する意味があったのではないか」と解説する。

 インドは、世界で存在感を増す新興・途上国「グローバル・サウス」の代表的存在で、今年の主要20か国・地域(G20)議長国でもある。モディ氏の発信からは、国際社会に対しインドの重要性を強調するしたたかなねらいが、すけてみえる。

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2023-05-20 07:50:00Z
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