東京都江東区長選を巡る公職選挙法違反事件で、自民党衆院議員の柿沢未途元法務副大臣(52)が複数の区議に配った現金について、東京地検特捜部が区長選の買収の疑いがあるとみて柿沢氏の地元事務所や秘書、区議の自宅を16日に捜索するなど捜査を進めている。柿沢氏側は区議選の「陣中見舞い」などとしており、現金の趣旨解明が焦点となる。(久原昂也、星直人)
20万円と1万円…
「重要なのは区長選当時の情勢や柿沢氏と区議との関係性だ」
こう分析するのは、公選法違反事件に詳しい検察OBの弁護士だ。
4月の区長選は自民党都連が支援する同党元都議で山崎孝明元区長の長男、一輝氏(50)と、柿沢氏が支援する同党元衆院議員の木村弥生前区長(58)の保守分裂選挙となり、区議選も並行して行われた。
柿沢氏は秘書らを通じ、複数の自民党区議に20万円を配布。木村氏を支援する「江東新時代の会」の区議には1万円を渡していた。
公選法上、区議選を戦う区議への陣中見舞いなら適法な寄付となり、区長選の票の取りまとめのための現金なら違法な選挙買収となる。
この検察OBは「陣中見舞いとして1万円はあっても20万円は社会通念上、多すぎる」と指摘。一輝氏を支援する自民党区議が寝返る期待が込められていると捉える余地があるとして、金額が陣中見舞いと買収を分ける目安になるとみる。
区長選を念頭に柿沢氏からの支援を断った自民党区議もおり、断った区議の認識も買収の立証の上で考慮されそうだ。
状況証拠から有罪
陣中見舞いか、選挙買収か-。
この構図は特捜部が手掛けた河井克行元法相が地元政治家らに現金を配布した令和元年参院選の広島選挙区を巡る選挙買収事件でも浮上した。
参院選は元年7月投開票で、その年の4月は統一地方選。河井氏側は現金は統一地方選の陣中見舞いだったと主張したが、公判では当時の状況や背景などの状況証拠から有罪になった。
一方の江東区長選は区議選と時期が一致しているが、現金が配られたのは木村氏が立候補を表明した後の1月以降だ。
事件に関わった弁護士は「配布は買収が成り立ちうる時期。柿沢氏らが買収の意図を否定しても広島と同様の認定になるかもしれない」とする。
別の検察OBは、仮に陣中見舞いの趣旨が認められても、区長選の買収の趣旨「も」含まれているとされるだけで「買収罪は成り立つ」という。
悪質性見極め
一方、検察OBのベテラン弁護士は「1万円の配布は陣中見舞いとみるしかない」との考えだ。
20万円の配布も「個人的に付き合いの深い区議であれば陣中見舞いともいえる」とし、配った相手によっては買収罪に問えない選択肢も出てくるとの見方を示した。
公選法違反事件では悪質性の見極めも必要だ。
広島の選挙買収事件で検察側が現金を受け取った側を起訴猶予としたが、検察審査会は悪質性を認めて起訴相当と議決。一転して略式起訴されるなどした。
この弁護士は、今回の事件も告発を受ければ検察審査会の対象になる可能性があり、「検察に曖昧な捜査は許されない」としている。
2023-11-18 12:18:19Z
https://news.google.com/rss/articles/CBMiQ2h0dHBzOi8vd3d3LnNhbmtlaS5jb20vYXJ0aWNsZS8yMDIzMTExOC1OVktFRDJBNTVaTk5aSkY2RVpRQ1BNUUJONC_SAQA?oc=5
No comments:
Post a Comment