髪を切って、気持ちも少し軽やかになってほしい――。豪雨で大きな被害を受けた熊本県八代市で理髪店を営む夫婦が、避難所で暮らす人たちの髪を無償でカットした。熊本地震を経験した際に受けた支援を「次につなげたい」との思いから、ハサミを手にした。
「今日はどげんしましょうか」「毛先は少し残してよかですか？」
7月16日の昼下がり。多くの家屋が被災した八代市坂本地区の住民が避難する「千丁コミュニティセンター」の隣にある市公民館の楽屋で、鏡の前に座るお年寄りの女性の髪に触れながら辻美枝（よしえ）さん（53）が明るく声をかけた。「ここぐらいまで切って下さい」。女性の返事を聞くと、スプレーで髪を湿らせ、手際よくハサミを入れていく。
好きな髪形や通っていた美容室のこと。たわいないやりとりから会話が弾むうち、豪雨で被災した時のことに話は及んだ。「川がドォッと氾濫（はんらん）して、ほんとに恐ろしかった」。女性がつぶやくと、辻さんは手をとめ、鏡越しに女性の目を見つめて優しくうなずき、「自然は怖かですね」と寄り添うように応じた。
辻さんと夫の道弘さん（53）はともに八代で生まれ育った。店を構えて20年ほど。豪雨で甚大な被害を受けた坂本地区の状況を知らせる報道に連日接し、思いを募らせた。「役に立ちたい」
4年前の4月14日夜。震度5弱の地震が八代市を襲い、その後も余震が続いた。「地面が揺れているのか、めまいがしているのか」。美枝さんは不安に駆られ、夜中に目が覚めてしまう日もあった。
それから間もない日中、立ち寄…
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July 24, 2020 at 05:00AM
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避難所でヘアカット 原点は「石巻」の字に涙した4年前 [九州豪雨] - 朝日新聞デジタル
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