自民党は14日、党大会に代わる両院議員総会を都内ホテルで開き、菅義偉官房長官(71)が岸田文雄政調会長(63)、石破茂元幹事長(63)を破って圧勝し、第26代総裁に選出された。菅氏は15日に幹事長ら党四役を選任。16日召集の臨時国会で第99代首相に指名され、16日中に新内閣を発足させる。「働く内閣」を掲げ、安倍政治の継承を目指すが、表に出た黒子には不安も山積み。名参謀は名宰相になれるか。
新総裁に選出された菅氏は、壇上で「役所の縦割り、既得権益、あしき前例主義を打破し、規制改革を進める。国民のために働く内閣をつくる」と宣言。「新型コロナウイルス拡大という国難にあって、政治の空白は許されない。安倍首相が進めた取り組みを継承し、進めていかなければならない」と述べた。
党本部で総裁の椅子に腰掛けた際には「(座り心地が)あまりにも良すぎて落ち着かないですよ」と笑顔。自民党で無派閥議員が総裁に選ばれるのは初。派閥の圧力に左右されない、新しい政権運営への期待は大きい。
自他ともに認める「叩き上げ」。酒もタバコもやらない。一方で中央省庁の人事権に絶大な影響力を持ち、権力を振りかざす手法は「首相案件より菅案件」と官僚を恐れさせ“陰の総理”と呼ばれるゆえんだ。だが「菅案件」と称される、この人事こそ「菅氏のアキレス腱となる」(自民党関係者)という。
昨年9月の内閣改造で初入閣した菅原一秀元経産相と元法相の河井克行被告が、翌10月に“政治とカネ”の問題で相次いで消え去る辞任ドミノ。2人はともに無派閥で、菅氏の側近。また、河井氏とともに公職選挙法違反(買収)の罪で東京地検特捜部に逮捕された河井氏の妻で参院議員の河井案里被告を、昨年7月の参院選で全面支援したのも菅氏だった。「セクシー」発言などでその資質が疑問視された小泉進次郎環境相も、無派閥で菅氏と同じ神奈川県選出。党内からは「菅派は全部ダメ」「見る目がない」との声が上がっている。
2閣僚の辞任劇では「一層身を引き締めて行政の責任を果たしたい」と述べ、危機的状況を乗り越えたが、当時は官房長官。首相となれば、その任命責任への追及は強まる。ましてや、06~07年の第1次安倍内閣では閣僚の「辞任ドミノ」が政権交代につながっただけに、党内ではその二の舞いへの警戒心は強い。人事ミスが党内派閥の反発を呼び、結果的に無派閥であることが足を引っ張る可能性もある。
政権運営に関しても“強権政治”に対する批判は多い。この日午前には官房長官として3213回目の記者会見を行ったが、長きにわたって「その指摘は当たらない」「問題はなかったと」などと、のらりくらりの発言を連発。ぶら下がり取材を含め、説明責任を果たせるかどうかも不安材料となっている。
携帯電話料金の値下げや、不妊治療への保険適用など、大衆受けのいい政策で巧みに得点を稼ぎつつも、外交問題などへの手腕は不透明。16日には初仕事となる“菅人事”の組閣がある。「取り返しのつかないミスをするならここ」(自民ベテラン議員)。早速、重大局面を迎える。
《法大出身初の首相へ》菅氏は法大出身の初の首相となる。東京六大学ではこれまで、東大の15人を筆頭に早大、慶大、明大出身の首相がおり、これで法大も加わった。立大だけがまだ首相を出していない。菅氏はこの日、会見前の写真撮影で法大時代に打ち込んだ空手にちなみ「正拳突き」のポーズを求められると笑顔で応じた。今年1月に都内で開催された「2020年 オール法政新年を祝う会」に来賓として参加し祝辞を述べた。母校にはそれほど強い思い入れがある。
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2020-09-14 20:30:00Z
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