実験の結果、うま味成分を多く含む日本酒は、どの料理と合わせても各料理のうま味スコアの増幅が見られ、中でもグリルロブスターやムール貝の白ワイン蒸し、生牡蠣といった魚介料理と日本酒のペアリングが最もうま味の増幅度が高いという結果となりました。これは魚介類に含まれるうま味成分であるイノシン酸と日本酒に含まれるうま味成分であるグルタミン酸が相互作用し、さらにうま味を増幅させる「うま味の相乗効果」によるものだと推測されます。
主な調査結果トピック
※数値は小数点以下第3位を四捨五入。
※数値は「味覚センサーレオ」により、うま味の数値をポイント化したものであり、実際に人間が美味しいと感じるかには個人差があります。
●日本酒のうま味の増幅度は、他のアルコール飲料に比べて高い。
アルコール飲料を加えることによって、すべての料理のうま味スコアは増幅しましたが、中でも日本酒がすべての料理において最もうま味を増幅させた結果となりました。全25料理の平均値とそれぞれのアルコール飲料を合わせた場合のうま味増幅スコアの平均は、他アルコール飲料が0.07-0.08ポイントであったのに対し、日本酒は0.32ポイントと上回りました。
【グラフ①:全25料理の平均値とアルコール飲料を合わせた場合のうま味増幅スコア】
●中でも魚介料理と日本酒のかけ合わせが、最もうま味の増幅スコアが高い。
日本酒のうま味の増幅スコアをそれぞれの料理で見ると、グリルロブスターやソフトシェルクラブ、ムール貝の白ワイン蒸しなどの魚介料理が、よりうま味の増幅度が高いという結果となりました。これは、魚介類が持つイノシン酸と日本酒が持つグルタミン酸によるうま味の相乗効果によるもので、さらに魚介類はうま味が最も増幅しやすい適度な脂肪量であるため、より相乗効果が見られたと推測されます。
【グラフ②:料理のみ、日本酒とペアリングした場合のうま味スコア(棒グラフ)と増幅スコア】
●うま味で選ぶなら魚介類とのペアリングは日本酒。
魚介類のペアリングとして白ワインを合わせることが有名ですが、うま味の増幅度という尺度で測った場合、うまみスコアは白ワインよりも日本酒とのペアリングが上回ることがわかりました。例えば、ペアリングの定番としてあげられる生牡蠣と白ワインのペアリング(0.13ポイントUp)よりも、日本酒とのペアリング(0.41ポイントUp)のほうがうま味が増幅しています。
【グラフ③料理別、ペアリングによるうま味スコアの増幅】
生牡蠣
生牡蠣のみのうま味スコア2.80ポイント
→日本酒と合わせたうま味スコア3.21ポイント (0.41ポイント Up)
→白ワインと合わせたうま味スコア2.93ポイント(0.13ポイントUp)
グリルロブスター
グリルロブスターのみのうま味スコア2.85ポイント
→日本酒と合わせたうま味スコア3.32ポイント(0.47ポイントUp)
→白ワインと合わせたうま味スコア2.95ポイント(0.10ポイントUp)
ムール貝の白ワイン蒸し
ムール貝の白ワイン蒸しのみのうま味スコア 3.11ポイント
→日本酒と合わせたうま味スコア3.54ポイント (0.43ポイントUp)
→白ワインと合わせたうま味スコア3.25ポイント(0.14ポイントUp)
【代表・鈴木 隆一からのコメント】
人間の味覚はもともと、素材を味わうことで自分に有用か不要かを判断するために発達した感覚です。うま味は身体に必要なタンパク質を摂取したことをからだに知らせるシグナルの役割を果たしており、グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸、コハク酸などがうま味成分として認識されています。これらは単独でもうま味を有しますが、複数のうま味成分が掛け合わさることで、相乗効果としてうま味が増幅されることが知られています。日本酒と魚介類の相性の良さは日本では昔から言われていましたが、グルタミン酸・コハク酸などのうま味成分を含む日本酒と、イノシン酸に加え、うま味増幅効果を得やすい脂肪分を含む魚介類は、科学的にも相性が良いということが今回の実験でも明らかになりました。
【日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO) 事務局長 大泉 裕樹からのコメント】
日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO)※では、日本酒の魅力を海外市場へ訴求するアプローチとして、「魚介類と日本酒の相性の良さ」に着目しています。今回の実験で、「うまみ味の増加」という点において、日本食のみならず、幅広い魚介料理に日本酒が合うということが実証されました。ペアリングを「うま味の増加」という尺度で選ぶという、新しい選び方を提案し、より多くの人に魚介類と日本酒のハーモニーを楽しんでいただきたいと考えています。
※参考:今回、AISSYが実験を行った結果をもとに、料理とアルコール飲料のペアリングを「うま味の増加」で提案するWEBコンテンツを公開しました。
WEBサイト:https://sake-jfoodo.jetro.go.jp/ (英語、フランス語のみ)
※日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO)は、日本政府により設立された日本産農林水産物・食品のブランディングのための消費者向けプロモーションを担う組織です。
【実験方法】
計測対象:
料理25種|グリルロブスター、ソフトシェルクラブ、ムール貝の白ワイン蒸し、タラのグリル焼き、ホタテのガーリック焼き、カルフォルニアロール、生牡蠣、オニオングラタンスープ、カラマリフリット、生ハム、オムレツ、刺身(まぐろ)、グリルソーセージ、白身魚のカルパッチョ、マッシュルームのアヒージョ、シュリンプカクテル、フライドチキン、カプレーゼ、カマンベールチーズ、マッシュポテト、クラムチャウダー、ステーキ、ペパロニピザ、オリーブ、キャビア
アルコール飲料|日本酒、白ワイン、赤ワイン、シャンパン、ビール、ジン、ウィスキー
※日本酒は計4銘柄を使用し、4銘柄のスコアの平均値を算出。
計測方法:
・25種の料理を準備し、電解質液に溶解させて味覚分析器「味覚センサーレオ」※にて分析。
・その後、料理とアルコール飲料のペアリングの味覚を分析するため、まずアルコール飲料に計測器具を浸し、そのまま洗浄せずに、電解質液に溶解させた料理につけ、分析器にかけた。
・料理そのもののうま味のスコアから増幅した分を、ペアリングによるうま味の増幅スコアとした。
※味覚センサーレオについて:
味覚センサーレオは慶応義塾大学とAISSYで共同開発されたヒトの味を感じる仕組みを模倣したマシン。舌の表面にある味蕾の代わりにセンサー部分で食品サンプルから電気信号を測定し、独自のニューラルネットワーク(人工的な知能の実現)を通し、五つの基本味を定量的な数値データとして出力している。
<AISSYについて>
慶應義塾大学・理工学部で開発された、AI技術により人間の味覚を再現した味覚センサーレオを用いて、食品の味覚分析および分析データを元にしたコンサルティング、味覚に関する共同研究を行なっています。
https://aissy.co.jp/
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December 01, 2020 at 09:00AM
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~“うま味”という指標で科学的な最適ペアリングを探る~料理とアルコール飲料のペアリングにおけるうま味増幅度調査を実施 - PR TIMES
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