2020/12/29 11:43 ウェザーニュース
月別の地震回数で見ると、最も多かったのが5月の213回。少なかったのが11月の96回です。4月から5月にかけては長野県と岐阜県の県境付近で群発地震が発生し、特に5月は全国で発生した213回のうち、半数近くの104回を占めました。(12月28日まで)
震度6弱以上の揺れを観測しなかったのは、2017年以来3年ぶり。震度5弱以上の地震が10回に満たなかったのは去年に続いて2年連続です。全体の地震回数も含め、東日本大震災を引き起こした、超巨大地震の影響は少しずつ落ち着いていると考えられます。
これらの地震の延長線上にある、千島海溝沿いでは巨大地震の発生が懸念されており、政府の地震調査推進本部は、マグニチュード8.8程度以上が30年以内に発生する確率を7~40%としています。
今回の地震は、千島海溝から北西に向かって沈み込む太平洋プレートの深部で発生した地震とみられます。
太平洋プレートが深く沈み込んでいる場所では同様の深発地震がしばしば起き、数年に一度マグニチュード6以上の規模の地震も発生します。一方、一度の地震での余震がほとんどないことも特徴です。
前述した2013年にオホーツク海で発生したマグニチュード8.3の地震では、最大震度こそ3に留まったものの、震度1以上の揺れは九州まで到達しました。深発地震でも規模が大きくなると揺れの影響が出てきますので、油断が出来ません。
最も大きな地震は7月22日にアラスカ沖で発生したマグニチュード7.8の地震です。メカニズムは北西ー南東方向に圧力軸をもつ逆断層型と解析され、周辺には一時、津波警報が発表されました。実際にはアメリカのアラスカ州・サンドポイントの0.24mの津波が観測された程度に留まり、大きな被害にはつながっていません。
大きな被害を及ぼした地震としては、10月30日にトルコ・ギリシャの沖、エーゲ海で発生したマグニチュード7.0の地震が挙げられます。
この地震ではギリシャのサモス島やトルコ西岸のイズミルなどで建物の倒壊の被害が相次ぎ建物の崩壊が多数発生しました。震源が20kmほどと浅かったため津波も発生し、トルコでは海岸から50mほどの所まで到達しています。トルコ政府によると、地震によって100人を超える方が亡くなっています。
トルコ西部からギリシャにかけてはユーラシアプレートとアフリカプレートに挟まれている領域です。ユーラシアプレートとアフリカプレートの間には、「アナトリアプレート」と呼ばれるマイクロプレートがあるとされ、これらのプレートの運動により、幾度となく大きな地震の被害に見舞われています。
今回の震源はアナトリアプレートの西側に接するエーゲ海プレートで発生しました。この領域は南北に引っ張られる動きをしていると考えられています。地震のメカニズムは南北方向に張力軸を持つ正断層型と解析され、考えられている動きと調和的です。2017年に同じトルコ西岸で発生したマグニチュード6.6の地震も正断層型と解析されています。
今回の震源はアナトリアプレートの西側の領域にあたり、南北に引っ張られる動きをしていると考えられています。地震のメカニズムは南北方向に張力軸を持つ正断層型と解析され、考えられている動きと調和的です。2017年に同じトルコ西岸で発生したマグニチュード6.6の地震も正断層型と解析されています。
マグニチュード5を超えるような余震が発生しており、救出・復旧活動への影響やダメージを受けた建物の新たな倒壊などが心配されます。
※日本国内の震源・震度の情報は特に記載が無ければ気象庁より。海外の震源情報は特に記載が無ければアメリカ地質調査所(USGS)より。発表機関により震源情報に差が生じることがあります。
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