大ヒット中の映画「劇場版『鬼滅(きめつ)の刃(やいば)』無限列車編」に登場するキャラクターの髪形や髪色をまねた“鬼滅ヘア”が若い女性を中心に人気だ。アニメの登場人物を模したヘアスタイルは「アニ髪」と呼ばれ、ファンの変身願望をかなえる手段として浸透しつつある。

「ああ、本当に炭治郎だ…」。11月30日、東京・吉祥寺の美容室「ソルシエ」で専門学校1年の伊藤日向子さん(19)は鏡を見つめながら満足そうにつぶやいた。オーダーしたのは鬼滅の主人公、竈門炭治郎(かまどたんじろう)をイメージして赤のグラデーションに染めたショートヘア。既に映画は6回見たと言い「推し(お気に入りのキャラ)の色になりたかった」と語る。

人気に火を付けたのは、アニ髪という言葉の生みの親で同美容室に勤める井上佳祐さん(29)だ。昨年5月ごろ、マネキンで炭治郎ヘアを作って写真共有アプリのインスタグラムに投稿したところ、話題が沸騰。毛先がオレンジ色の禰豆子(ねずこ)ヘアや緑とピンクの甘露寺蜜璃(かんろじみつり)ヘアなど、他のキャラのスタイルも開発するとオーダーが殺到し、今年2月ごろは1日に50人以上の髪を鬼滅カラーに染め上げた。

客の9割は女性で10代後半~20代前半が中心だ。鬼滅ヘアは「色の組み合わせが絶妙で、アニ髪の中でもおしゃれ度が高い」と井上さん。「インナーカラー」と呼ばれる髪の一部だけを染めるスタイルの流行にも沿っており「派手過ぎないというニーズにも合う。もし作者がそこまで意識しているとしたらすごいです」と話している。(共同)