新型コロナウイルスワクチンの国内での接種が17日、欧米に2カ月遅れて始まる。医療従事者から着手する。臨床試験で発症予防効果が確認されており、経済の回復を後押しできる可能性がある。円滑な普及には、デジタル化した流通や履歴管理のシステムを有効活用できるかが問われる。
厚生労働省は14日、米ファイザーのワクチンを承認した。16歳以上が対象で、3週間間隔で2回注射する。臨床試験のデータなどから発症を予防する効果があると確認した。偽薬との比較試験で95%の有効性があった。
急ピッチの開発でデータが不十分な面もある。効能などを示す添付文書は「予防効果の持続期間は確立していない」と注意を喚起している。
副作用は接種部位の痛みや疲労が半数以上で出ているが、大部分は数日以内に消える。米疾病対策センター(CDC)によると、重症化すると命にかかわるアレルギー症状のアナフィラキシーは20万回に1回程度だ。
英国や米国は2020年12月に承認し、接種を始めた。日本は2カ月遅れとなる。予防接種法に基づく臨時接種で「疾病のまん延予防上緊急の必要」があるとして妊婦を除き努力義務を課す。罰則はない。国費でまかない、無料で受けられるようにする。期間は22年2月までを想定する。
17日、国立病院機構などの100病院でコロナに対応する医師や看護師らから始める。政府高官は15日「2万人近くになる見通しだ」と話した。
3月に医療従事者370万人に広げる。千葉県は対象者を19万人超と見込み、約280会場を選んだ。会場となる医療機関からは「対象者数が把握できず体制作りが難しい」と困惑の声も出る。
コロナ患者を受け入れている病院が多く負担軽減も課題だ。遅れが出れば後の日程に影響する。4月からは65歳以上の高齢者3600万人に打ち始める。その後、延べ300万人で接種後の健康状態の調査も実施する。
カギは効率的な接種体制の構築だ。15日にはワクチンの流通を管理する厚労省のシステム「ブイシス」が本格稼働した。国が都道府県経由で市町村に配り、市町村が各会場に割り当てる。その配備や在庫の状況を常時把握できるようにする。会場検索や予約状況の確認用のサイトもつくる。
政府は接種履歴を管理する別システムも4月までの稼働をめざす。マイナンバーの活用も可能とし、転居なども容易に捕捉できるようにする。
1億人超が対象となる巨大事業で安全と効率を両立できるか。失敗続きの日本のデジタルトランスフォーメーション(DX)が改めて試される。
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2021-02-15 14:00:00Z
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