首都圏の1都3県で継続している新型コロナウイルス緊急事態宣言の期限が7日に迫り、菅義偉首相は3日、再延長へとかじを切った。経済の疲弊を懸念し、早期の解除を目指してきたが、新規感染者の減少ペースが鈍った上、1都3県の知事が解除に慎重な姿勢であることも考慮した。夏の東京五輪・パラリンピックへの影響を避けたい思惑もにじむ。
◆「再延長は辛抱きかなくなる」
首相は3日夜、官邸で記者団に2週間の期限延長を検討する考えを表明。関西など6府県を解除したこととの違いを問われ、新規感染者数が「下がり切っていない」と強調した。
2月に宣言の延長を決めた当時、首相側近は「強い対策をとれば経済へのダメージも大きい」と語り、早期解除の必要性に言及。その後も停止中の観光支援事業「Go To トラベル」の地域限定再開を模索するなど、政府は経済の落ち込みに危機感を抱いてきた。自民党内からも「また延長となれば、7日までと頑張ってきた飲食店はえらいことになる。外出自粛の辛抱も利かなくなる」と懸念の声が上がっていた。
だが今回、首相は「最終的には私自身が判断したい」と繰り返し、厚生労働省に助言する専門家組織「アドバイザリーボード」や政府のコロナ対策分科会の議論を前に、自ら再延長を表明する形を演出した。1月の宣言時は、正月早々に1都3県の知事から西村康稔経済再生担当相が発令の直訴を受けた後、宣言を決めた経緯があり、経済を優先して後手に回ったと批判されるのを避けたかったとみられる。首相に近い自民党幹部は「自治体に振り回されていると思われたくなかった」と解説する。
◆2週間延長が「絶妙」の真意
2週間延長なら、期限は今月21日まで。自民党内には、五輪を意識したとの見方がある。聖火リレーが25日にスタートする予定だからだ。
昨年、当時の安倍政権は感染拡大に直面し、聖火リレーの開始直前だった3月24日に五輪延期を決定した。今春は、逆に感染を抑え込んで宣言を解除し、聖火リレーに臨みたいとの思惑が見え隠れする。
自民党のベテラン議員は「2週間というのは絶妙だ。政府は何とかして五輪をやりたいということだろう」と指摘した。
◆下がり切らない新規感染者数
菅首相が記者団に語ったように、首都圏の新型コロナ新規感染者数は下がり切っていない。直近の7日間平均は3日、東京など1都3県全てで前日を上回った。
新規感染者数の7日間平均をみると、東京都は2月1日は約819人だったが、同24日には約295人にまで減少。だが、その後は減少にブレーキがかかり、前日を上回る日もある。3月3日は約278人で、都が目標とする1日あたり140人の約2倍だ。
神奈川県は2月18日、いったん120人を下回ったが、同22日に再び約121人に増加。その後も一進一退を繰り返している。
千葉県もここ1週間は、120人前後で推移する。1都3県で唯一、埼玉県だけが7日間平均が100人を下回っているが、3月3日は98人にまで再び増えた。(上野実輝彦、小坂井文彦)
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2021-03-03 12:29:26Z
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