政府・地震調査委員会は26日、今後30年間で震度6弱以上の揺れに見舞われる確率を示した全国地震動予測地図の2020年版を公表した。首都圏は詳細な地盤データを用いた影響で前回の18年版から確率が大きく変化した地点が多く、横浜は38%。一方、新たな試みとして示した都道府県別の予測地図では、神奈川は確率の高いエリア(3%以上)がほぼ全域を占め、強い揺れのリスクが改めて裏付けられた。
平田直委員長は「日本はどこでも強い揺れに見舞われる可能性があるが、大都市のある平野は特に揺れやすい。家や会社、学校の揺れやすさを認識してほしい」と地図の活用と耐震化などの徹底を呼び掛けた。
新たな予測地図は全国を250メートル四方に区切り、20年1月1日を基準日として確率を算出した。それぞれの地点の確率に応じて色分けし、0・1%(3万年に1回程度の頻度)以上~3%(千年に1回程度)未満を「やや高い」、3%以上の地点を「高い」と評価している。
中でも赤紫色の地点(26%以上)は、100年に1回以上の頻度で6弱が起こりうる高確率のエリア。直下地震の切迫性が指摘される首都圏に加え、南海トラフで巨大地震のリスクが指摘されている東海から四国にかけての太平洋側などに広がっている。
地震調査委は一方で、都道府県庁所在地の各市役所の地点(北海道は札幌市以外の振興局も含む)については、確率の数値を公表している。
18年版で82%だった横浜市は確率が大幅に低下した形となったが、市庁舎が移転し、地盤が揺れにくくなった影響が大きいという。さらに、揺れの増幅度合いを左右する地下構造のデータが、ボーリング調査などを踏まえて改良されたことも反映されている。
このほか首都圏の主な地点では、東京都新宿区が47%(18年版は48%)、千葉市は62%(同85%)、さいたま市が60%(同55%)。水戸市は18年版と変わらず81%と高かった。
南海トラフ地震で強い揺れが見込まれる地域では、静岡市(70%)と名古屋市(46%)、高知市(75%)が18年版と同じだったが、和歌山市(68%)は10ポイント上昇した。東北は東日本大震災以降の活発な地震活動の影響を加味したことで確率が高まった地点が多く、盛岡市(6・3%)と仙台市(7・6%)、福島市(9・3%)でいずれも数ポイント上がった。
また、千島海溝沖で巨大地震が切迫していると考えられていることなどから、北海道の太平洋岸東部の根室市(80%)や釧路市(71%)も、引き続き高リスクとなった。(渡辺 渉)
2021-03-26 20:55:00Z
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