「アダム以来最も孤独」と評されたのは、1969年に人類初の月面着陸に成功したアポロ11号の宇宙飛行士、マイケル・コリンズさんだ。月を周回する司令船からアームストロング船長とオルドリン飛行士が月に降り立つのを支援した▲司令船が月の裏側に回ると、交信が完全に遮断された。コリンズさんは「反対側には30億人(当時の地球の人口)プラス2人、こちら側は1人プラス神のみぞ知るという状態だった」と振り返っている▲コリンズさんが90歳で死去した。月に一歩をしるす栄誉は得られず「忘れられた飛行士」とも呼ばれた。だが、本人は「他の2人と同様に必要な存在だ。完全に満足している」と語っていた。バイデン米大統領は訃報に「偉業に向けた協力の必要性を気づかせてくれた」とたたえた▲飛行士退任後、ワシントンのスミソニアン航空宇宙博物館館長として世界最大級の施設をオープンさせた。アポロ計画関連の展示も多く、今も宇宙に憧れる子どもたちに人気がある▲コリンズさんによれば、宇宙から見た地球は「小さく、光沢があり、穏やかで青白く、はかない」そうだ。晩年は地球環境の悪化を心配し「指導者たちが宇宙から地球を見れば、考え方が根本的に変わるはずだ」と指摘していた▲宇宙航空研究開発機構(JAXA)は今秋にも13年ぶりに日本人宇宙飛行士を募集する。米国との協力で月面着陸の機会もあるというから夢がある。若い世代がコリンズさんらに続く偉業に加わることに期待する。
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