「東京は土地でも何でも世界一高い」といわれたのも今は昔、物価も賃金も安い国となりつつある日本。いつの間にか物価上昇を続ける諸外国との乖離(かいり)は進み、都内で最も富裕層が多いとされる東京・港区の平均所得者ですら、米サンフランシスコの基準で言えば「低所得者」と分類されることに――。『安いニッポン 「価格」が示す停滞』(日本経済新聞出版)より抜粋する。
「日本の賃金水準がいつの間にか経済協力開発機構(OECD)の中でも相当下位になっている」
2021年1月末、今年の春季労使交渉のキックオフとなる労使トップの会合で、経団連の中西宏明会長はそう語った。
この「いつの間にか」という表現に、うなずく読者もいるかもしれない。
だが日本が成長を見失ったこの30年の間、ずっと国内の賃金や価格は足踏みしてきた。
G7で最も平均賃金が低い国
今や日本の平均賃金は主要7カ国(G7)で最下位だ。
経済協力開発機構(OECD)などのデータを基にした分析によると、日本で過去最高だった1997年の実質賃金を100とすると、2019年の日本は90.6と減少が続いている。海外は米国が118、英国は129など増加傾向にある中、日本だけが減っているのだ。実質賃金とは物価変動の影響などを除いたものであり、日本の賃金の安さを端的に表していると言える。
また、2019年の平均賃金(年収)を、同年の米ドルを基準とした購買力平価(PPP)を使って国際比較しても、日本の低迷ぶりが際立つ。PPPレートは為替レートよりも各国の購買力の実感に近いものだ。日本(3万8617ドル)はスイス(6万6567ドル)や米国(6万5836ドル)に大きく差を付けられた。韓国(4万2285ドル)やイタリア(3万9189ドル)よりも安い。

『安いニッポン 「価格」が示す停滞』(日本経済新聞出版)から
つまり物価の違いがなくても、日本の賃金は安い。
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