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Friday, September 10, 2021

歴代で最も買いやすい折りたたみスマホに 「Galaxy Z Fold3 5G/Z Flip3 5G」の狙い:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ) - - ITmedia

 「フォルダブルはスマートフォンの新たなメインストリームだ」――こう語ったのは、サムスン電子のモバイル事業を率いるTMロー(ノ・テムン)氏だ。その言葉通り、同社が新たに発表した「Galaxy Z Fold3 5G」と「Galaxy Z Flip3 5G」は、2020年のモデルから価格を引き下げ、利用シーンを広げる防水に対応。初代「Galaxy Fold」の登場から3世代目にして、ついにフォルダブルスマートフォン普及のアクセルを踏んだ格好だ。

Galaxy Z Fold3 5G フォルダブルスマートフォンのメインストリーム化を狙うGalaxy Z Fold3 5G(左)/Flip3 5G(右)が、ついに日本で発売される

 そんな2機種が、ついに日本で発売される。日本では、上記の特徴に加え、フォルダブルスマートフォンとして初めておサイフケータイに対応。取り扱いキャリアにはドコモが加わり、初代から継続的に販売しているauとの2キャリア展開になった。日本での戦略もグローバルと同じで、フォルダブルのメインストリーム化を狙う。ここでは、そんなGalaxy Zシリーズの特徴をおさらいするとともに、サムスンの狙いを読み解いていきたい。

Galaxy Z Fold3 5G 8月に開催されたUnpackedでは、TMロー社長がフォルダブルスマートフォンのメインストリーム化を宣言した

Galaxy Noteに代わり、秋冬商戦の主役に抜てきされたGalaxy Zシリーズ

 Galaxy Z Fold3 5G/Flip3 5Gの投入にあたり、サムスンはこれまでのラインアップを大きく見直している。Galaxy Noteシリーズの投入を見送ったのだ。もともと同社は、フラグシップモデルのツートップ体制を取り、2月から3月にベーシックなハイエンドモデルであるGalaxy Sシリーズを、8月から9月に大画面とSペンを売りにしたGalaxy Noteシリーズを発表していた。このGalaxy Noteに代わって“主役の座”についたのが、フォルダブルスマートフォンのGalaxy Zシリーズだ。先に挙げたTMロー氏の言葉を借りれば、Galaxy Zのメインストリーム化ともいえる。

Galaxy Z Fold3 5G 2020年までは、秋冬商戦のフラッグシップモデルとして、Galaxy Noteシリーズが投入されていた。写真はGalaxy Note20 Ultra 5G

 背景には、Galaxy SとGalaxy Noteの差別化が難しくなっていたこともありそうだ。通常のスマートフォンより大きなディスプレイを搭載し、一時は「ファブレット」とも呼ばれたGalaxy Noteだが、この狙いが当たったこともあり、各社とも大画面化に追随。結果としてスマートフォンそのものの大画面化が進み、今では6型以上のディスプレイを搭載する端末が当たり前の存在になっている。これは、サムスン自身も例外ではない。

 Galaxy Sも、通常版と「+」を冠した大画面版に分かれ、2020年からはカメラを強化した最上位モデルとして、「Galaxy S20 Ultra 5G」がラインアップに加わっている。2021年もそのラインアップは継続しており、4月には、1億画素のカメラや最大100倍ズームが売りの「Galaxy S21 Ultra 5G」が発売されている。ディスプレイサイズだけなら、Galaxy Noteを選ぶ理由が薄くなってきていたというわけだ。

Galaxy Z Fold3 5G 同じGalaxy Sのカテゴリー内で、複数のバリエーションを投入するようになっている。写真は左からGalaxy S21 5G、S21+ 5G、S21 Ultra 5G

 もう1つの特徴であるSペンも、Galaxy S21 Ultra 5Gが対応したことで優位性が失われている。本体にSペンを収納できるのは今のところGalaxy Noteだけだが、Galaxy S21 Ultra 5G用の純正のケースにその機能を持たせることで、端末本体と一緒に持ち運べるようになった。ケースに収納するのであれば、Sペンを利用しないユーザーは選択しなければいいだけで、大画面だけに魅力を感じていたユーザーとSペンまで利用していたユーザーの双方を取り込める。大画面化という1つのトレンドを作り出したGalaxy Noteではあるが、存在意義が薄れてきていたのも事実だ。

Galaxy Z Fold3 5G 大画面でSペン対応というGalaxy Noteの特徴も兼ね備えたGalaxy S21 Ultra 5G。ラインアップのバッティングが増えてきたのも事実だ

 この間、2019年に紆余(うよ)曲折を経て投入されたフォルダブルスマートフォンも徐々に進化してきた。2020年にはシリーズ名称をGalaxy Zに改め、フィーチャーフォンのように折りたんでコンパクトなサイズになる初代「Galaxy Z Flip」を発表。同年8月には、5Gに対応した事実上の2代目である「Galaxy Z Flip 5G」と、Galaxy Foldの後継機にあたる「Galaxy Z Fold2 5G」を披露している。ディスプレイそのものを折り曲げる斬新な機構を採用していたこともあり、当初は設計や生産に苦労していたが、徐々にそれも解消。満を持して、3代目となるGalaxy Z Fold3 5G/Flip 3 5Gをメインストリームに押し上げた格好だ。

「低価格」と「安心感向上」の2つでメインストリーム化を狙うサムスン

 メインストリーム化にあたり、サムスンが打った手は大きく分けて2つある。1つが価格だ。これまでのフォルダブルスマートフォンは、真新しい技術を使って歩留まりも悪かっただけに、販売台数が少なく、他のスマートフォンより群を抜いて高かった。2020年秋冬商戦にauから発売されたGalaxy Z Fold2 5Gは本体価格が25万9980円(税込み、以下同)。Galaxy Z Flip 5Gは18万5835円と、ハイエンドモデルの中でもトップクラスの高さだった。折り曲げられる未来感や驚きはあるが、なかなか手が届きづらい価格といえる。

 対するGalaxy Z Fold3 5G/Flip3 5Gは、グローバルで1799.99ドル(約19万7800円)と999.99ドル(約10万9900円)。特にGalaxy Z Flip3 5Gは1000ドルを切ったのが大きく、一般的なハイエンドモデルの価格に収まっている。メインカメラがデュアルカメラで、望遠に非対応など、フラグシップモデルと比べるとやや見劣りする部分はあるものの、Snapdragon 888を採用したハイエンドモデルとしては一般的な価格帯。他と比べて高いからという理由で、フォルダブルスマートフォンを敬遠する理由がなくなった。

Galaxy Z Fold3 5G グローバル版の価格は、2020年モデルを大きく下回った。特に1000ドルを切ったGalaxy Z Flip3 5Gは、価格面でも大きな注目を集めた

 現時点で日本版の価格はドコモしか発表していないため、au版の新旧価格差は算出できないが、2020年のau版に比べ、ドコモのGalaxy Z Fold3 5G/Flip 3 5Gはリーズナブルな価格設定になっている。ドコモ版の本体価格はGalaxy Z Fold3 5Gが23万7600円、Galaxy Z Flip3 5Gが14万8896円。グローバル版よりちょうど4万円ほど高くなっているが、2020年のau版よりも価格が下がっているのも事実だ。端末を返却で残債の3分の1を免除する「スマホおかえしプログラム」の案内がないが、ドコモ広報部によると、何らかの施策は「検討している」といい、ここからさらに価格や実質価格が下がる可能性もある。

Galaxy Z Fold3 5G ドコモオンラインショップでの価格。グローバル版よりは高いが、2020年モデルのau版より安く、購入しやすくなった

 もう1つは、端末の強度を上げるのと同時に、フォルダブルスマートフォンで初めて防水に対応したことだ。2020年までのGalaxy Zは、革新的な端末だった一方で、防水には非対応。ディスプレイそのものを折り曲げるという機構を採用していることもあり、強度にも不安があった。これに対し、サムスンはGalaxy Z Fold3 5G/Flip3 5Gの2機種に、従来モデルより硬い「Armor Aluminum」のフレームを採用。フォルダブルの要ともいえるディスプレイのガラスも強化しており、耐久性を向上させた。

Galaxy Z Fold3 5G ガラスやフレームの強度を上げ、フォルダブルスマートフォンの課題だった耐久性を向上させた

 折り曲げる必要上、どうしても本体に隙間ができてしまうため、フォルダブルスマートフォンでは難しいといわれていた防水にも対応。デザインこそ2020年のGalaxy Z Fold2 5G/Flip 5Gを踏襲してはいるものの、内部的には抜本的な改良を施していることが分かる。スマートフォンは、肌身離さず持ち運ぶものだけに、急な雨に降られることもある。キッチンなどの水場で利用することも多いだけに、ハイエンドモデルでは防水が必須になりつつある。一般のユーザーにとっては、フォルダブルだからという理由だけで諦める必要がなくなったのは、Galaxy Z Fold3 5G/Flip3 5Gをメインストリームに位置付けられた大きな理由といえる。

 Galaxy Z Fold3 5Gが、Galaxy Note最大の売りだったSペンを継承したのも、メインストリーム化の象徴といえる。先に述べた通り、Sペン対応はGalaxy S21 Ultra 5Gにも広がったが、より大きなディスプレイで手書きが可能になったという意味で、Galaxy Z Fold3 5GはGalaxy Note以上に紙の“ノート”を代替できる1台になった。モバイル事業の前CEO、DJコー(コ・ドンジン)氏は、日本で初代Galaxy Foldが発表された際に、将来的なSペンへの対応やGalaxy Noteとの統合を示唆していたが、ついにそのときが来たというわけだ。

Galaxy Z Fold3 5G Galaxy Z Fold3 5GはSペンにも対応し、Galaxy Noteの後継としても活躍する端末になった

ドコモへの拡大やおサイフケータイ対応もメインストリーム化の一環、ブレーク間近のフォルダブルスマートフォン

 ここまではグローバル共通の話だが、日本版ならではのトピックもある。ドコモでの販売と、おサイフケータイへの対応がそれだ。初代Galaxy Foldは、当初の発売日直前に設計上の問題が発覚し、投入が大幅に遅れた上に、生産台数も限られていたことで、日本ではau限定の発売になった。Galaxy Z Fold2 5G/Flip 5Gもauの独占販売は続いていたが、Galaxy Z Fold3 5G/Flip3 5Gはついにドコモが取り扱いを表明。Galaxy Sと同様、2キャリアで展開される。

Galaxy Z Fold3 5G 写真はドコモ版のGalaxy Z Fold3 5G。背面には、ドコモのロゴがあしらわれている

 ドコモは2000店舗のドコモショップを擁し、契約者数も国内トップ。KDDIが独占提供していたときと比べ、少なく見積もっても販売力は2倍以上に上がった格好だ。同じ端末をドコモとauの2キャリアが扱えば競争原理が働きやすくなり、これまで以上に販売にも力が入る可能性は高い。日本でも、フォルダブルスマートフォンが“飛び道具”的なカテゴリーから脱却しつつあるといえる。裏を返せば、これはユーザーにリーチしやすくなったことを意味する。

 特殊な端末のカテゴリーを抜け、通常のハイエンドモデルと同じように販売されるには、おサイフケータイへの対応も欠かせない要素だ。2020年までのGalaxy Zは、販売することを最優先していたきらいがあり、日本向けのカスタマイズは周波数対応など、最小限にとどめられていた。防水と同じだが、おサイフケータイに対応していても購入する理由にはならないが、購入の候補から外れる可能性はある。他のハイエンドモデルが、横並びで対応しているからだ。こうした機能からも、サムスンがGalaxy Z Fold3 5G/Flip3 5Gをメインストリームに押し上げたい意図がうかがえる。

Galaxy Z Fold3 5G おサイフケータイに対応し、キャッシュレス決済の各種サービスを利用できるようになった

 一般のユーザーにとってより身近な存在になったGalaxy Z Fold3 5G/Flip3 5Gだが、サムスンの狙いは当たり、先行して発売されている他の国や地域では、軒並み販売が好調だという。サムスン電子ジャパンのCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)、小林謙一氏によると、同社のお膝元の韓国では、過去最大の27万台以上を販売しているという。サムスンのシェアが高い米国でも、事前予約の台数だけでGalaxy Zシリーズの全販売台数を上回り、好スタートを切った。インドでは、2020年に発売されたGalaxy Note20 5Gの2.7倍もの予約が入ったという。

Galaxy Z Fold3 5G 調査会社の各種データも、フォルダブルスマートフォンが伸びを予想する。先行投入された国や地域での実績もよく、日本でも期待ができそうだ

 日本ではどうか。2019年10月の電気通信改正以降、ハイエンドモデルの市場規模が縮小し、今の主流は3万円台から5万円ぐらいまでのミドルレンジモデルだ。こうした端末と比べると、低価格化したとはいえ、Galaxy Z Fold3/Flip3 5Gはまだまだ高額の部類に入る。2機種とも魅力は増したが、一気に浸透するとは考えづらい。一方でここまで述べてきたように、フォルダブルだからといって気構える必要がなくなってきている。特にGalaxy Z Flip3 5Gは価格も他のハイエンドモデルに近づき、歴代で最も買いやすいフォルダブルスマートフォンに仕上がっている。プロモーション次第では、大化けする可能性も十分ありそうだ。

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