羽田空港の格納庫の売買を巡り、自身の関連企業から約１億円を着服したとして、警視庁は２８日、元参院議員で不動産会社役員の山内俊夫容疑者（７４）（東京都港区南麻布）を業務上横領容疑で逮捕した。警視庁は、着服金が計約２億３０００万円に上る可能性があるとみて調べている。
発表によると、山内容疑者は２０１９年３月、自身が実質経営する合同会社「羽田空港格納庫」（渋谷区）が一般社団法人「資源外交戦略研究所」（同）に預けていた２億８０００万円のうち、計１億１００万円を不正に引き出し、着服した疑い。香川県と京都市にある土地の購入費や手付金に充てたという。
合同会社は１８年４月、同研究所と不動産関連会社「マルナカホールディングス」（高松市）が設立した。山内容疑者が「格納庫を買って転売したらもうかる」と持ちかけ、マルナカが２８億円を出資。合同会社は同月、羽田空港にあるビジネスジェット用の格納庫を購入した。
格納庫の前所有者は国に払う土地使用料約２億８０００万円を滞納しており、合同会社が負担することになった。合同会社はこの分をいったん同研究所に預けたが、山内容疑者は一部を無断で流用したという。
滞納金が国に払われなかったため、格納庫の転売話が進まず、マルナカ側が警視庁に相談した。２億８０００万円のうち約５０００万円はマルナカ側に返還されているという。
山内容疑者は香川県議を経て、１９９８年７月に自民党公認で参院議員に初当選。総務政務官や文部科学副大臣を歴任した後、２０１０年に自民党を離党し、同年に政界を引退した。
格納庫の前所有者は金沢市の会社で、同社の元社長は格納庫の使用許可などを巡って国土交通省職員に賄賂を渡したとして、１５年９月に贈賄容疑で逮捕され、１６年に東京地裁で有罪判決を受けていた。
2021-11-28 11:54:13Z
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