2021年も多くのスポーツが行われ、「THE ANSWER」では今年13競技を取材した一人の記者が1年間を振り返る連載「Catch The Moment」をスタートする。現場で見たこと、感じたこと、当時は記事にならなかった裏話まで、12月1日から毎日コラム形式でお届け。第3回は、体操・内村航平(ジョイカル)が登場する。鉄棒6位に終わった10月の世界選手権(福岡・北九州市立総合体育館)。結果を度外視した姿勢に歴代最強選手の境地を見た。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)
一人の記者が届ける「THE ANSWER」の新連載、第3回は体操・内村航平
2021年も多くのスポーツが行われ、「THE ANSWER」では今年13競技を取材した一人の記者が1年間を振り返る連載「Catch The Moment」をスタートする。現場で見たこと、感じたこと、当時は記事にならなかった裏話まで、12月1日から毎日コラム形式でお届け。第3回は、体操・内村航平(ジョイカル)が登場する。鉄棒6位に終わった10月の世界選手権(福岡・北九州市立総合体育館)。結果を度外視した姿勢に歴代最強選手の境地を見た。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)
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「今日やってみて思ったけど、結果は本当にどうでもいいんだなと思った」
五輪と世界選手権を合わせて個人総合8連覇。40連勝の金字塔を打ち立て、果てしなく勝ち続けた。誰よりも「結果」を残してきた内村が言うからこそ、この言葉は重みを増した。
人数の上限を設けない有観客で行われた世界体操。32歳の大ベテランは、種目別予選から2721人の視線を真っ向から受け止めた。
バーを掴み、ゆっくりと勢いをつける。全身の神経を研ぎ澄まし、回り始めた。静寂に包まれた中、H難度の離れ技「ブレトシュナイダー」を披露。拍手が爆発的に鳴った。着地までまとめた瞬間、この日最も大きな喝采。そばで声を枯らした橋本大輝、萱和磨の日本代表の後輩たちも跳びはねた。約50秒の演技に込めた「魅せる」という信念。観客席では「KING KOHEI」の横断幕が上下左右に揺れた。
「これだよな。これが試合だよな」
生まれ故郷・北九州の拍手が胸にしみた。いつも以上に沸いたのは“普通の予選”ではなかったからだ。88日前、東京五輪は予選でまさかの落下。メダルはおろか決勝にすら進めず、9月の全日本シニアは着地で尻もちをついた。両大会とも無観客。久々に見られる「生」の内村をみんなが待っていた。
内容には「良かった部分は正直一個もない」と納得いかなかった。確かに離れ技で肘が曲がるなど、完璧主義者が追い求める内容とは程遠い。それでも、体のあちこちに痛みがある中、五輪で見せられなかった「どうなっても落ちない、最後の最後までやり切る」というファンを意識した目標はクリアした。
4日後の決勝もまた、視線を独り占めした。大技は完璧ではなかったが、誰よりもこだわってきた着地は微動だにしない。演技を控える海外選手たちも手を叩き、この大会で最も大きな拍手が降り注いだ。それほどの美しさがあった。「会心の一撃だと思う。あれだけの着地で自分の気持ちが高ぶった」。主役は噛み締めるように両拳を握り、右腕を力いっぱい突き上げた。
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