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Sunday, December 5, 2021

ヘアクラックと打ち継ぎ部が目立たない住宅基礎をWASC基礎地盤研究所が開発 - ITpro

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 戸建て住宅の鉄筋コンクリート基礎のひび割れや打ち継ぎ部を不具合として、クレームを訴える建て主が後を絶たない。住宅会社は基礎表面に左官や塗装の仕上げを施すなど、クレーム対策に苦労している状況だ。

 戸建て住宅の基礎や地盤の専門会社であるWASC基礎地盤研究所(大阪府茨木市)は、幅0.3mm以下のヘアクラックと打ち継ぎ部を目立たなくする工法「wasc-Mat基礎」(以下Mat基礎)を開発した。試験施工した住宅が2021年11月中旬に完成。同社に基礎のひび割れ防止策を相談していた大賀建設(さいたま市)が、試験施工の現場を提供するなど協力している。

 Mat基礎の特徴の1つは、基礎の立ち上がりのコンクリート表面に洗い出し風の模様を付けていることだ。一般に幅0.3mm以下のひび割れはヘアクラックと呼ばれ、無害と考えられている。このヘアクラックを模様で目立ちにくくする。

 WASC基礎地盤研究所の高森洋代表取締役は狙いを次のように説明する。「コンクリートには乾燥収縮によるひび割れが生じるものだが、制御できていれば無害だ。ヘアクラックは表面に凹凸模様を付けて乱反射で目立ちにくくする。ヘアクラックよりも大きいひび割れは、誘発目地を設けて対応する」

Mat基礎を採用した大賀建設の現場。基礎の立ち上がりの表面に洗い出し風の模様を付け、縦の誘発目地を設けている(写真:WASC基礎地盤研究所)

Mat基礎を採用した大賀建設の現場。基礎の立ち上がりの表面に洗い出し風の模様を付け、縦の誘発目地を設けている(写真:WASC基礎地盤研究所)

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 高森代表は、過去に勤めていた大手ハウスメーカーで開発に携わった模様付きの布基礎をヒントに、ベタ基礎用として新規にMat基礎を開発した。勤めていた大手ハウスメーカーの了解を得て、開発を進めている。

 Mat基礎では、「Mパネル」と呼ぶ樹脂パネルを鋼製型枠の内側に取り付けた状態でコンクリートを打設し、基礎表面に模様を付ける。

鋼製型枠の立ち上がりの内側にMパネルを取り付けた状態で、コンクリートを打設している様子(写真:日経クロステック)

鋼製型枠の立ち上がりの内側にMパネルを取り付けた状態で、コンクリートを打設している様子(写真:日経クロステック)

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打設したコンクリートからMパネルを取り外している様子。Mパネルは容易に剥がれる(写真:WASC基礎地盤研究所)

打設したコンクリートからMパネルを取り外している様子。Mパネルは容易に剥がれる(写真:WASC基礎地盤研究所)

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 模様は複数から選べる。今回の試験施工では洗い出し風の模様を採用した。Mパネルには、古い鋼製型枠からの汚れがコンクリートに付着するのを防ぐ効果も期待できる。

 WASC基礎地盤研究所では、Mat基礎を採用する際には、エヌ・エス・ピー(岐阜県中津川市)が製造する鋼製型枠の採用を条件としている。エヌ・エス・ピーが既に開発している鋼製型枠用の部品を利用することで、型枠コストを抑える狙いだ。

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