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早速、NPO法人「ジャパン ヘア ドネーション アンド チャリティ」(大阪市)に話を聞いた。ヘアドネーションを専門に行う団体として2009年に誕生した、国内では草分け的な存在。これまでに500個を超えるウィッグを、希望する子どもたちに無償提供している。
同法人の場合、短すぎるとウィッグにしづらいとの理由から、受け付ける髪の毛の長さは「31センチ以上」。髪色や髪質に条件はなく、カラーリングやパーマをした毛、癖毛、白髪でも大丈夫。性別や国籍も問わない。
寄せられた毛髪は、長さをそろえてまとめ、4種類のウィッグに加工する。元の毛が60センチほどあれば「スーパーロング」、それより短いと「ロング」「ボブ」、31センチで「ショート」ができる。一つのウィッグを作るためには約50人分の毛が必要になるという。
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では、どこでカットすればよいのか。同法人は「行きつけの理美容室がある人は、まずはそこで相談してみて」と勧める。自宅で切ってももちろん構わないが、日ごろから髪の状態を把握してくれている理美容師がいれば、寄付に向いた毛の長さやカット後の髪型を決めやすい。
行きつけの店舗がない場合は、活動に賛同する理美容室でのカットが可能。同法人のホームページで検索でき、県内では40店以上が名を連ねている。
賛同店の一つ、「LIOS」(岡山市北区田中)では多い月には10人以上が訪れ、これまでに約330人に対応してきたという。今城聡一郎副店長は「皆さん、寄付できるまで髪を伸ばした達成感とともに、カット後に新しい髪型になった自分の姿に笑顔で帰られます」と話す。
同市立後楽館中3年の青山虎雅さん(15)は20年春、約4年間伸ばし続けた髪を福山市内の美容室でカットした。自身も急性リンパ性白血病で闘病し、治療で髪が抜けた経験があり「髪を失った子どもたちの助けになれると思うと、うれしかった」と振り返った。
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同法人によると、賛同する理美容室は増加傾向にあるなど、取り組みの輪は広がっている。ただ、実際にヘアドネーションを行う人の約4割は10代以下の若者が占め、渡辺貴一代表は「ヘアドネーションは手軽にできる社会貢献だが、まだまだ幅広い世代に認知されているとは言えない」と指摘する。
ウィッグを贈られた子どもたちからは「気軽に外出できるようになった」「学校で明るく振る舞えるようになった」といった喜びの声が多く寄せられているという。現在は同法人以外にも同様に毛髪を受け付ける団体や企業が登場している。ヘアドネーションに取り組む人がもっと増え、子どもたちの笑顔があふれる社会になってほしい。
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