ウクライナのキーウ(キエフ)州で、ロシア軍撤退後に発覚している多数の民間人被害を巡り、首都キーウ北西部のボロディアンカでは、町長代行が「少なくとも200人超」の死者が推定されると述べた。米紙ニューヨーク・タイムズが5日伝えた。同州ホストメリ周辺では、住民ら400人以上が失踪したと現地メディアが報道。「戦争犯罪」とみられる民間人被害はさらに拡大する恐れが強い。
ボロディアンカでは同州内で最も多くの遺体が発見されていると検察が明らかにしている。町長代行は不発弾の除去や電力復旧などを優先させるため、遺体の確認には時間がかかるとしている。
ウクライナ軍当局は「ホストメリで発見された遺体が他の街と比べて少なく、占領の痕跡が消された可能性がある」として、ロシア軍が遺体を運び出した可能性を示唆。ロシア国防省は2月の侵攻開始直後、ホストメリの空港周辺でウクライナ側の部隊200人以上を殺害したと発表している。
また、ベネディクトワ検事総長は5日、ロシア軍による約5000件の戦争犯罪を捜査していると明らかにした。犯罪に関与したロシア兵は約2000人と推計し「ウクライナ人を殺そうと戦争を始めた人物の責任を問う」と強調。検察によると、子どもの死者が167人に達した。
戦場や占領下では通常、個々の兵士の行動を特定するのは難しいが、ウクライナ軍は今回、通信傍受や衛星画像でロシア側の行動を追跡している。地元メディアなどでは「史上初めて、個々の戦争犯罪が証拠とともに大規模に特定されうる」との見方が出ている。
ウクライナ国防省の分析では、キーウ州を撤退したロシア軍部隊は東部に向かい、第2の都市ハリコフを制圧する構え。南部でもロシア軍の攻撃が激しさを増しており、黒海に面した交通の要衝ミコライウでは4日にあった砲撃で12人が死亡した。
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ウクライナの首都は、これまでロシア語読みの「キエフ」と表記していましたが、今後はウクライナ語の発音に近い「キーウ」に変更します。ロシアによる侵攻で命を奪われている人びとが求める表記とします。
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2022-04-06 13:05:30Z
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