こうした商品や食料品の多くは、ロシアが一方的に併合した、隣接するクリミアから運ばれ、映像では、多くの人が野菜などの食料や日用品などが並べられた通りの出店に買いに訪れている様子が写っていますが、とりわけ医薬品の不足が深刻だということです。
また、ATMも使えない状態で、銀行でお金を引き出すにも数週間待たなければならず、利子を払って個人業者からお金を借りてやりくりしている人もいるということです。
先月末からは携帯電話が通じなくなり、インターネットもクリミアにあるロシアのネットワークに接続しないとアクセスできないということです。
また、バニナさんは、ロシアが一方的に任命したヘルソンの行政の長のもとで、ロシアが支配の既成事実化を進めようとしていると指摘したうえで「ロシアの通貨ルーブルを流通させようと、店主に値札を2つ作るよう命じました。また、ロシアの教育プログラムを導入しようと教員たちを集めていますが、誰も賛同していません」と明らかにしました。
また、メディアへの統制も行われていて、ロシア軍によってテレビ塔の機器が破壊され、通常の放送は、ロシアの番組しか見られなくなっているということです。
ヘルソン州で進むこうした「ロシア化」の動きについて、バニナさんは「まるでガンのようです。一見、正常に見えますが、ヘルソンの街はもう死にかけています。未来は何もありません。時代が30年、後戻りしてしまいました」と嘆いていました。
こうした状況を受けて、ヘルソンからの脱出を決意したバニナさんたちですが、ウクライナ側に避難するルートは表向きは存在しておらず、入念に下調べをして地元の人しか知らない道をひたすら進むしかなかったといいます。
ヘルソンからロシアの支配地域を抜けウクライナ側に向かう途中、30を超える検問所が設けられていたということで、行き先や目的のほか子どもの荷物にいたるまで何度も調べられました。
避難中に撮影した映像には、道ばたに砲撃を受けて破壊された建物や車が写っていて、自分たちもいつ攻撃を受けるかわからず、命がけの避難だったといいます。
バニナさんは、「ジャーナリストなので拘束対象のリストに載っているかもしれず、砲撃を受けるかもしれないと常に緊張状態でした。ウクライナ側に着いてウクライナ軍の兵士にあいさつをされたとき、みんな涙を流しました」と話し、目頭を熱くしていました。
そして、「ヘルソンの人々は解放されるのを待っています。ウクライナ軍の犠牲が最小限に抑えられるなら長く待つ覚悟はできています」と述べ、ウクライナ軍の反撃でヘルソンが解放されることを願っていました。
2022-06-23 21:20:27Z
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