安倍晋三元首相(67)が奈良市で参院選の街頭演説中に銃撃され死亡した事件で、無職の山上徹也容疑者(41)=殺人容疑で送検=が「圧力鍋を使って爆弾を作ったこともあるが、特定の人を襲うには不向きだった」と供述していることが、捜査関係者への取材で判明した。奈良県警は山上容疑者が襲撃対象を確実に狙おうと、殺傷力の高い武器の試作を重ねていた疑いがあるとみている。
捜査関係者によると、山上容疑者は「圧力鍋を使った爆弾も作り、試しに爆発させた」と供述。火薬の製造方法をインターネットで入手していたことも分かっており、こうしたノウハウに基づき爆弾を製造することができたとみられる。
一方で、山上容疑者は暴発によって不特定の人に危害が及ぶことを避けたという趣旨の説明もしている。武器の試作を繰り返した結果、襲撃対象を狙いやすい銃の製造を決めた可能性が高い。
山上容疑者は2022年2月ごろまでに少なくとも6丁の手製銃を完成させ、いずれもネット動画などを参考に作ったとされる。安倍氏の銃撃に使われた銃は銃身にあたる金属製の筒2本をテープで固定。1度引き金を引くと最大6発が発射され、殺傷力の高い構造になっていた。
県警は16日午前、奈良市内にある山上容疑者の自宅マンションを再び家宅捜索した。「銃や実包は自宅で作った」との供述に基づき、室内からミキサーや工具、計測器を押収した。
山上容疑者を巡っては、母親(69)は入信した宗教団体「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」に少なくとも約1億円を献金し、02年に自己破産した。親族によると、家族は生活に困窮し、山上容疑者は奈良県有数の進学校に入ったにもかかわらず、経済的な理由から大学進学を断念していた。
山上容疑者は県警の調べに、「家族をめちゃくちゃにした団体を10代の頃から恨んでいた。団体を国内に広めたのが安倍氏と思って狙うようになった」と供述。当初は団体トップを襲撃する計画を立てていたが接触できず、今春ごろには対象を安倍氏だけに絞っていたことが明らかになっている。【吉川雄飛、川畑岳志】
2022-07-16 02:01:53Z
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