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Friday, March 17, 2023

岸田首相 “育休中の手取り収入同程度に 年収の壁に支援策” - nhk.or.jp

岸田首相 “育休中の手取り収入同程度に 年収の壁に支援策” - nhk.or.jp

少子化対策として岸田総理大臣は、出産後の一定期間、男女ともに育休を取得した場合、休業前と同じ程度の手取り収入を確保できるよう育児休業給付金の水準を引き上げる意向を表明しました。
また、いわゆる「年収の壁」について、基準の106万円を超えても手取り収入が減らないよう支援策を導入する方針を示しました。

岸田総理大臣は、17日夜、少子化対策について記者会見を行いました。

この中で、岸田総理大臣は、去年の出生数が80万人を下回り過去最少となったことに触れ「このまま推移すると、わが国の経済社会は縮小し、社会保障制度や地域社会の維持が難しくなる。これから6、7年が少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスだ」と指摘しました。

その上で「政策の内容・規模はもちろん、社会全体の意識・構造を変えていくという意味で、次元の異なる少子化対策を政権の最重要課題として実現していく」と述べました。

そして
◇若い世代の所得を増やすことと、
◇社会全体の構造や意識を変えること、それに
◇すべての子育て世帯を切れ目なく支援することの
3つを基本理念に具体的な政策を進めていくと説明しました。

具体的な所得向上策として、一定の年収を超えると配偶者の扶養を外れるいわゆる「年収の壁」について、まずは、基準の106万円を超えると手取り収入が減る逆転現象が起きないようにするための支援策を導入し、その後、制度の見直しに取り組む方針を明らかにしました。

また子どもが多い家庭の負担が大きいことを踏まえ、児童手当の拡充や高等教育費の負担軽減のほか、若い子育て世帯への住居支援など、包括的な支援策を講じていく考えを示しました。

さらに社会構造や意識を変えるため育児休業の取得を推進する必要があるとして、低水準にとどまっている男性の取得率の政府目標を2025年度に50%、2030年度に85%に引き上げることを明らかにし、達成を促すために企業の体制整備の支援を行っていく考えを示しました。

一方、国家公務員については、男性全員の取得を目指し、2025年度には85%以上が1週間以上の育休を取得する計画を策定し、実行に移すとしています。

そして、取得を促す具体策として、▼育児休業給付について、希望すれば時短勤務でも給付金が支給されるよう見直すほか、▼出産後の一定期間、男女ともに育休を取得した場合、休業前と同じ程度の手取り収入を確保できるよう給付金の水準を引き上げる意向を表明しました。

さらに、▼非正規で働く人に加え、フリーランスや自営業の人に対しても、育児によって収入が減った場合に、経済的な支援を行う新たな仕組みを創設する方針を明らかにしました。

また「『こどもファースト社会』の実現をあらゆる政策の共通目標にする」と述べ、国立博物館などの国の施設で、子連れの人が窓口で並ばずに優先的に入場できる「こどもファスト・トラック」を新たに設け、全国に広げていく方針を示しました。

そして、岸田総理大臣は、4月1日にこども家庭庁が発足することに触れ「国民の声をうかがいながら、必要な政策強化の内容、予算、財源についてさらに議論を深め、6月の骨太方針までに、将来的な子ども予算倍増に向けた大枠を示す」と述べました。

その上で「時代の変化、若い方々の意識の変化を的確にとらえつつ『時間との闘い』となっている少子化問題に、先頭に立って全力で取り組んでいく」と強調しました。

“子ども・子育て予算の倍増『骨太の方針』までに具体化”

岸田総理大臣は、子ども・子育て予算の倍増について「政策の中身を詰めなければ、倍増の基準や時期を申し上げることは適当でない。充実する内容を具体化し、その内容に応じて社会全体でどのように安定的に支えていくのか、予算や財源を考えていかなければいけない。『骨太の方針』までに、具体化を進めるとともに、将来的な子ども・子育て予算倍増に向けた大枠を提示したい」と述べました。

“「教育国債」は慎重に検討”

また、教育支援の財源を「教育国債」で賄う考えはないか問われ「これまでも申し上げているとおり、安定財源の確保、あるいは財源の信認確保の観点から慎重に検討する必要があると考えている」と述べました。

“放送法の解釈は一貫して維持”

放送法が定める「政治的公平」の解釈について「放送法の解釈は、総務省が放送法を所管する立場から責任を持って、従来の解釈を変更することなく、補充的な説明を行ったものであり、この考え方は一貫して維持されている。総務省において、放送法をめぐる一連の経緯に関して、精査を行っていると承知している」と述べました。

“日韓首脳会談 両国間に課題 乗り越えるべく努力”

16日の日韓首脳会談について「正常化に向けて大きな1歩となる前向きな会談を行うことができた。日韓間には、隣国であるだけにさまざまな経緯や歴史もあるがそれを乗り越え、困難な決断と行動をされたユン大統領には心から敬意を表したい」と述べました。

その上で「両国間には課題がまだいくつもあり、互いの信頼関係に基づいてひとつひとつ乗り越えるべく、未来に向けて努力していきたい」と述べました。

また、ユン大統領と夕食を共にしたことについて「大変楽しいお酒を飲むことができた。個人的なことも含め、互いの信頼関係を深める意味で有意義な会話をさせていただいた。トップ同士の信頼関係をもとに課題を前に進めることができればと期待している」と述べました。

“米銀行相次ぐ経営破綻 引き続き注視”

アメリカの銀行の相次ぐ経営破綻などが日本経済や金融市場に及ぼす影響について「現在、日本の金融機関は総じて充実した流動性あるいは資本を維持していて、金融システムは総体として安定していると評価している。政府としてはさまざまなリスクがありうることを念頭に置き、日本銀行はじめ各国の金融当局とも連携しつつ、内外の経済金融市場の動向が実体経済や金融システムの安定性に与える影響などについて、強い警戒心を持って注視していきたい」と述べました。

その上で「本日、財務省と金融庁、そして日本銀行の間で、最近の市場動向について意見交換を実施し、政府と日銀の緊密な連携を確認したところだ。こうした姿勢で、引き続き注視していきたい」と述べました。

“中小企業の賃上げ 原資確保するため生産性向上へ支援”

また、中小企業の賃上げをめぐり「労務費など価格転嫁が十分にできていない状況もあり公正取引委員会の協力のもと、業界ごとに実態調査を行ったうえで、転嫁のあり方の指針をまとめていきたい。最低賃金の引き上げや、同一労働同一賃金の施行の徹底を進めるとともに、賃上げの原資を確保するため生産性向上への支援も進めていきたい」と述べました。

“衆参の補欠選挙 議席を守り抜き拡大していく”

4月行われる衆参の補欠選挙について「今後の国政に影響を与える可能性もある重要な選挙と認識している。自民党の議席をしっかり守り抜き、さらに拡大していくため全力を尽くしていきたい」と述べました。

“マスクを外し息苦しさを感じる場面も少ない”

マスクを外すようになった生活の印象について「息苦しさを感じる場面も少なくなった気がするが、いずれにせよ、マスクはそれぞれの国民の皆さんの判断にお任せするということで政府から何か強制するものではない」と述べました。

その上で「できるだけ混乱をきたさないよう、国民の皆さんに適切に判断いただけるような材料を用意しておくことも大切なことではないか」と述べました。

“G7広島サミット 原爆資料館への訪問を検討”

5月のG7広島サミットについて「アジアで開催されるので、『自由で開かれたインド太平洋』に関するG7の連帯を確認をする機会としたい」と述べました。

また、「G7首脳を含め世界に被爆の実相をしっかりと伝えていくことは核軍縮に向けたあらゆる取り組みの原点として重要であり、この観点から原爆資料館への訪問をはじめ、検討している」と述べました。

一方、招待国や詳細な日程については「まだ決まっていない。検討を続けている」と述べました。

育休取得率の推移・課題

【取得率の推移】
厚生労働省によりますと、男性の育休取得率は今の方法で記録を取り始めた1996年度には0.12%でしたが、その後、上昇傾向が続き、2017年度には5%を超えました。

2019年度から、2020年度にかけては、7.48%から12.65%へと5ポイント余り増えて過去最大の伸び幅となりました。

2021年度の取得率は、13.97%と過去最高となっています。

ただ、これまでの政府の目標は2025年までに30%となっていて、まだ開きがある状況です。

一方、女性の取得率は2021年度で85.1%と過去最高となっています。

【課題】
育休の取得率を高めるためには、収入面の手当てや休みやすい職場環境の整備が課題だとされています。

厚生労働省が2020年度にまとめた調査では、男性の正社員が育休を取得しない理由を複数回答で聞いたところ、最も多かったのは、
▽「収入を減らしたくなかったから」で41.4%に上りました。

また、
▽「職場が育休を取得しづらい雰囲気だった」
または
「会社や上司、職場の育児休業取得への理解がなかったから」が27.3%
▽「自分にしかできない仕事や担当している仕事がある」が21.7%
▽「残業が多いなど業務が繁忙であった」が20.8%などとなっています。

【財源も】
育休をめぐっては、取得率の上昇に伴い給付額も増えています。

厚生労働省によりますと、1995年に制度が創設された際には、休業期間中に得られる給付金は休業開始前の賃金の25%でしたが、徐々に引き上げられ、2014年からは67%となりました。

給付総額も、2011年度には男女合わせて2631億円余りでしたが、2021年度は6456億円余りと10年間で2倍以上となっています。

これらは雇用保険財政などでまかなわれ、保険料は労使が折半で負担していて、育児休業給付が今後さらに拡大すれば、どう財源を確保するのかも課題となりそうです。

専門家“代替要員確保に向けた支援拡大も”

全国の企業などで、育休取得の推進を支援している育Qドットコムの広中秀俊社長は、育児休業給付金の水準の引き上げについて「男性が育休を取得しない理由の一番が収入が減るということだったので、給付が引き上げられれば自分も取ってみようという人は増えるだろう。男性と女性でバトンタッチして育児にあたれれば、女性の職場復帰の機会も増えると考えられる」話しています。

一方、企業が育休を取得した人の代替要員を確保できなくては育休の取得は広がりにくいとして、「企業は日々、業務整理をして他の人でも代わりができるという状況にしておくことが必要だ。最近はふだんから別の部署の仕事をあえてしてもらう企業も増えてきている。しかし、中小企業では最小の人数で業務を回しているところがあり属人的な業務が生まれやすい。国は今後、企業の代替要員の確保に向けた支援の拡大を進めていくべきだ」と話していました。

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2023-03-17 12:00:32Z
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