新型コロナウイルスの感染が落ち着き外で飲酒する機会が増えたことで、埼玉県警が繁華街の客引きへの警戒を強めている。飲食店に連れ込まれ、高額料金を支払わされる被害が目立つためだ。酒酔い状態で被害に遭うと立証するのが難しく、泣き寝入りせざるを得ないことも多いため県警は「絶対についていかないで」と呼びかけている。(立原朱音)
「キレイとカワイイ、どっちが良い?」。6月上旬の夜、さいたま市大宮区の繁華街「大宮南銀座(南銀)」を歩いていると、片言の日本語を話すアジア系の女性がサラリーマン風の男性2人に声をかけている様子が目に入った。2人はすでに相当飲んでいる様子で、肩を組んで赤い顔を寄せ合い女性の話を聞いていた。
こうした光景は、夜の繁華街では珍しいものではない。しかし、県警保安課の野村泰隆次席は「連れて行かれる店は無許可営業や法外な請求をする店など悪質なところがほとんど」と警告する。
県警に寄せられた客引きに関する通報や相談件数は、コロナ禍前の2019年は549件あったのが、22年は228件と減っている。ただ、今年1~5月は90件で、前年同期より5件増えた。新型コロナウイルスの感染症法上の分類が「5類」に移行したことで、夜の街の人出は増えており、再び被害が広がっていく恐れがある。
相談内容で特に多いのが「ぼったくり」被害。客引きの勧誘で入った店で、メニューに見合わない高額料金を請求されたり、クレジットカードで思わぬ金額を支払わされているのに後日明細を見て気付いたりすることが多い。
南銀では21年、中国籍の女が経営する飲食店に酔客を呼び込み、客のクレジットカードで架空の高額決済をする犯行が続いた。客のクレジットカードをひそかに持ち出して仲間が経営する近くの飲食店で高額決済をし、何食わぬ顔でカードを返すという手口だった。県警は昨年6~7月、この女を含む3人を、風営法違反(客引き)や電子計算機使用詐欺などの容疑で逮捕している。
ただ、風俗店などの客引き行為は風営法や県迷惑行為防止条例で禁じられているが、摘発するのは簡単ではない。捜査関係者によると、被害者が泥酔していて記憶があいまいなことが多いほか、私服警察官が巡回していても、警察官の特徴を把握している客引きに気付かれてしまうことも少なくないという。このため、今年1~5月に県警が客引きを検挙したのは14件にとどまっている。
野村次席は「客引きはそもそも大半が違法。声をかけられても無視して自分の身を守ってほしい」と呼びかけている。
2023-06-26 05:30:00Z
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