国連のグテレス事務総長は１１月８日、パレスチナ自治区ガザにおける民間人の死者数は、イスラム組織ハマスに対するイスラエルの軍事作戦の「何かが間違っている」ことを示しているという認識を示した。写真は同日、ニューヨークで開かれたロイターネクストで語るグテレス国連事務総長（２０２３年 ロイター／Brendan McDermid）
［ニューヨーク ８日 ロイター］ - 国連のグテレス事務総長は８日、パレスチナ自治区ガザにおける民間人の死者数は、イスラム組織ハマスに対するイスラエルの軍事作戦の「何かが間違っている」ことを示しているという認識を示した。
グテレス氏はロイターネクストで「人間の盾」戦術を利用する「ハマスにも違反はある」としつつも「軍事作戦で殺害された民間人の数を見れば、明らかに何かが間違っている」と語った。
人道危機にさらされているパレスチナ市民の悲惨な映像は「世界的な世論という点でイスラエルに有益ではない」とし「イスラエルの利益に反しているとイスラエルが理解することも重要」と述べた。
イスラエルのエルダン国連大使は、ガザ保健省が示す死者数は信用できないとした上で、イスラエルが人道回廊などで市民の犠牲を抑えようと努める一方、ハマスは民間人を標的にしていると反論。
「事務総長は第２次世界大戦中のドイツ市民の犠牲が米英の民間人死者を上回ったからといって、大量虐殺を行う政権と戦った米英の軍事作戦は何かが『間違って』いたと言うだろうか」とロイターに語った。
１０月７日に起きたハマスのイスラエル奇襲によって１４００人が殺害され、２４０人超が人質となった。ガザ当局によると、その後のイスラエルの攻撃でこれまでに１万０５６９人が死亡し、そのうち４０％が子どもという。
グテレス氏はガザでの子どもの犠牲について、国連が毎年確認している世界の紛争による子どもの死者数をはるかに上回っているとし、「数日間に何千人もの子どもが殺されている。これは、軍事作戦のやり方に明らかに何か問題があることを意味している」と改めて述べた。
ガザの人道状況については「壊滅的」とし、ガザ市民が直面するニーズに対応する「人道援助の流れが絶対的に不可欠」と重ねて強調。「効果的な人道支援を確実にするため、われわれはイスラエル、米国、エジプトと集中的な交渉を進めている」とした。
さらに「これまでの支援は少なすぎ、遅すぎる」とし、エジプトとの境界にあるラファ検問所を通過しガザに入った人道支援物資を積んだトラックが過去１８日間で６３０台にとどまっていると明らかにした。
戦闘終結後のガザについては「再活性化」されたパレスチナ自治政府が政治的コントロールを引き受けるのが「最良のシナリオ」だと指摘した。
パレスチナ側とイスラエルの交渉で移行期間を設ける必要があるとの認識も示した。国連平和維持部隊の可能性に言及するのは時期尚早とし、国連でそうした議論は行われていないと述べた。
国連、中東諸国、米国など複数の国や組織が役割を果たすことが可能とした上で「２国家解決に向けた真剣な協議」の出発点にすべきだと語った。
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2023-11-09 00:04:00Z
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