任期満了に伴う東京都知事選が20日、告示される。これに先立ち、主な候補者4人が19日午後4時半から、東京都千代田区で、日本記者クラブ主催の共同記者会見に臨んだ。
出席したのは、3選を目指す現職の小池百合子氏(71)、参院議員の蓮舫氏(56)、前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏(41)、元航空幕僚長の田母神俊雄氏(75)。
4人は写真撮影した後に席に着き、それぞれ都政の課題や取り組み方針について考え方を表明した。
◆石丸氏「政治屋の一掃」
まずは石丸氏が「私の政策のさらに上にある掛け声」だとして、「政治屋の一掃」を掲げた。「仕事をするふりをして一向に成果をあげない、そんな政治屋を一掃したいと、これまでずっと考えてきました」と語った。「恥を知れ恥を。これが国民の思いだ」として「東京の政治が変われば、日本の政治が確実に変わる」と力を込めた。
◆小池氏「首都防衛」
小池氏は「未来を担う命、そして子どもや子育てを守る、その世帯を守っていく」と表明。物価高からの生活防衛や、自然災害からの防衛を掲げ、「東京の未来を守る戦い、これを都民の皆様に訴えていきたい」と述べた。
◆蓮舫氏「若者の手取り増」
蓮舫氏は若者の手取り収入を増やすとともに、都政を「ガラス張り」にすると強調した。都の財政に東京版行政事業レビューシートを入れ、「約6000の事業をどこで誰がいつどのように使ったのか、契約どんなあり方なのかもしっかりと公表する」と表明し、「納めた税金が何に使われているのか。もしそこで果実が出たら躊躇なく若者に現役世代にシニアに振り分けていきたい」と述べた。
◆田母神氏「結果を出す」
田母神氏は「結果を出す政治」と記した。
「都政は都民の安全と豊かな暮らし、これを実現しなければならない。しかし、この十数年を見るに、都はより安全になったのか、暮らしが豊かになったのかというと、なっていない」と指摘。
その上で「私は自衛官だった。防衛省における行政経験を通じた行政をどのように改善していくかというノウハウはわきまえている。ぜひ私に任せてほしい」と語った。
◆小池氏はほかの候補に質問せず
続いて、登壇者同士の質疑応答の機会が設けられたが、小池都知事は「皆さんの声も伺いたいので、質問は特にございません」と答えた。
蓮舫氏は、小池氏に対して、今後の都知事選での討論のあり方についてただした。
テレビ番組が都知事選に絡んで小池氏と蓮舫氏による討論会を企画したところ「(テレビ局関係者から)『小池都知事側から断られた』と言われている」と指摘。「小池氏の考えを伺いたいところがたくさんある。テレビ番組が企画した討論会に出ていただけないか」と求めた。
これに対し、小池氏は公務の多忙に言及しながら「今回は50人以上が出馬しており、(2人による討論会の開催で)公平性をどう担保するのかは大きなテーマだ」と指摘した。
◆石丸氏の実績は「政治再建」
続いて田母神氏は石丸氏に、安芸高田市長時代に「何を目標にし、現実に成功された事例は」と尋ねた。
石丸氏は「政治再建」として、政治に興味関心を持ってもらうよう努めたと説明。成果として、「中高生が選挙に行きたい、選挙に行けないならどうしたらいいんだと質問された」と答えた。
これに対し、田母神氏は「市民がより安全でより豊かな生活ができるようになったのか、具体的な成果について聞きたかった」と述べた。
◆小池氏「2期8年をブラッシュアップ」
石丸氏は小池氏に質問。「これまでの2期8年で改革、何ができなかったのか」「なぜ次の4年をやると、それができるようになるとお考えなのか」とただした。
小池氏はこれまでの2期8年で164の政策目標を掲げてきたと説明。新型コロナウイルス禍で約10ほどの項目が達成できなかったが、139の項目を達成したと強調しながら、次の任期中での改革を「加速させていきたい」とPR。「2期8年の実績をもとにさらにブラッシュアップし、バージョンアップをしていきたい」と訴えた。
◆各候補が少子化対策を披露
登壇者同士の質疑応答が終わり、記者からの代表質問に移った。
東京都の出生率が0.99と全国最低に落ち込んだことで「政策の目標が間違っているのではないか。どのように統括するのか」との質問に対し、
小池氏は「間違いとは思いません」と断言。「全国の出生率の低下が、東京都の自治体の低下よりも上回っている」と主張し「018サポート」や、授業料の実質無償化などに取り組み「若いママさんパパさんたち、これから結婚しようかなと思っている方々にも大きな希望を与えてきた」と話した。
蓮舫氏は記者から「少子化対策はどこに政策目標あてるべきか」と問われ、少子化は「非婚化が進んでいるから」との見方を披露。「基礎支出が高い東京は手取りがぐっと減る」として「今から10年かけてでも今の子どもたちが社会に巣立つときに不安と負担のない東京都をつくることが長い目でみた少子化対策だ」と述べた。
田母神氏は「結婚しなければ子供は生まれない」として若者については都民税を半額にするなどの施策をとって所得をあげることが大事だと主張。結婚した人に対しては「第一子100万円、第二子200万円、第三子400万円」などの「大胆な政策」を「インセンティブ」として導入するべきだと持論を展開した。
石丸氏は同様の質問に対して「未婚者をどう婚姻に結び付けていくかは都市への集中、過密が大きな背景」になっており、この問題への「取り組み、視点が欠かせない」と述べた。
◆蓮舫氏の自民党批判はトーンダウン?
記者から自民党批判のトーンダウンを指摘された蓮舫氏は「最初の会見の時の私の思い、志は全く変わっていない」と強調。「自民党が独自の候補者を擁立しないことに失望している。その自民党が応援している方がおられるなら今の自民党に負けたくないという思いを持っている」と述べた。
この答えに絡み、「今の自民党をどう評価するか」と問われた小池氏は「多くの方から幅広く支援いただければ」などとして正面から答えなかった。
同じ質問に対し、石丸氏は「ダメです」と自民党を一刀両断。そのうえで「党利党略、政治のための政治を続けていたから国民が興味を失った」とし、「都知事選で国政の代理戦争などというバカげた真似はやめてもらいたい。都民にとって、自治体において迷惑千万」と厳しい言葉を連ねた。
◆小池氏が学歴を説明
続いて、記者から学歴詐称疑惑について問われた小池氏は「カイロ大学そのものが(自身の卒業を)認めている」とこれまでの主張を繰り返した。「すでに証明するものは証明して、カイロ大学が声明も出している」とした上で、選挙直前の時期に疑惑が浮上したことについて「選挙への妨害と言わざるを得ない」と述べた。
◆政党による支援
蓮舫氏に対する選挙支援の枠組みについても記者から質問があった。
蓮舫氏は、共産党の支援が入ったことで国民民主党と連合東京の支持が離れたと言われていることについて問われると、「支援者を私から排除することはしない」と強調。「枠組みにとらわれない支援者を求めている」と述べた。
続いて、小池氏と蓮舫氏が国政政党の支援を受けていることについて問われた石丸氏は「ご本人の意思、支援する方の意思で私がとやかく言う話ではない」と述べながらも、「そのような支援がないからこそ広く都民の声を聞き、政策に反映できる。自分の強みとして捉えている」との見方を示した。
◆神宮外苑の再開発問題でヒートアップ
さらに、神宮外苑の再開発問題について尋ねた。
蓮舫氏は「再開発は一端立ち止まる。これを都知事選の争点にしています」と強調。「都民の声をしっかり聞いていきたい。環境アセスメントや、再開発の前提となっている公園まちづくり制度について、厳格に検証したい」と述べた。
これに対し、小池氏は「争点になりません」とぴしゃり。「民間事業であり、事業者に樹木の保全について投げかけて立ち止まっている」と主張。「むしろ樹木の本数、緑の比率も増える。これらの情報も伝えていきたい」と続けた。
石丸氏は「基本的な認識は小池さんがおっしゃった通り」と述べ「外苑の問題にとどまらず、広くまち作りの発想として、人と自然の調和を重視していくべきだ」とした。
田母神氏は「外苑は、都民にとっても神聖な場所」と主張し、「神聖なものはできるだけ残して、元の形を守っていった方が良い」と述べた。
蓮舫氏は小池氏の主張に対し「伐採をして植樹をしても、ここからまたその木が育つのは100年かかる」と反論。いちょう並木に隣接してスタジアムができることで、日当たりや、根の生育に問題も出てくると主張した。さらに、小池氏が昨年秋、事業者に保全計画を示すよう求めたのに、答えが出ていないとして「再要請してほしい」と求めた。
小池氏は「政策で都内に緑を増やしている」と反論。「外苑は人工林だ」とし、「その点もよく理解されていない」と主張した。「根系調査も行っている」と話した。
◆過去最高の50人が出馬へ
4人を含め、都知事選には過去最高の約50人が立候補の意向を示している。投開票は7月7日。
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2024-06-19 08:53:27Z
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