【焦点1】旧優生保護法は憲法違反か
最高裁判所の判断で注目されるのは、旧優生保護法が憲法に違反していたかどうかです。
原告側は障害者などへの強制的な不妊手術を認めていた旧優生保護法について、「国は障害者らを差別し、人としての尊厳を否定した。優生手術によって子どもを産み育てるかどうかを自分で決められず、体を傷つけられた」などとして平等権や個人の尊厳などを保障する憲法に違反していたと主張しています。
一方、国は旧優生保護法が憲法違反かどうかについて、これまで一切、主張していません。
最高裁が法律の規定について憲法違反だと判断したのは、戦後12例しかなく、今回どのような判断になるか注目されます。
【焦点2】「除斥期間」が適用されるかどうか
もう1つの焦点は、不法行為から20年が過ぎると賠償を求める権利がなくなるという「除斥期間」が適用されるかどうかです。
原告側は「国が旧優生保護法に基づく施策を推進したことで偏見や差別が浸透し、原告たちは被害を認識することが困難な状況だった。『除斥期間』を適用することは著しく正義・公平の理念に反する」として、不妊手術から時間がたっていても損害賠償を求めることができると主張しています。
一方、国は「旧優生保護法で手術が行われていたことは公にされていたのだから、当事者が損害賠償を求めることができなかったとは言えない」と反論しています。
また、不妊手術を受けた人たちに一時金を支給する法律が施行されたことを踏まえ、「国会が問題解決の措置を執ったのに、裁判所が判例を根本的に変更して解決を図ることは裁判所の役割を超えている」と主張しています。
「除斥期間」は「時間の壁」とも呼ばれ、最高裁が例外を認めた判決は2例しかありません。声を上げることができなかった原告たちの事情をどのように判断するのか注目されます。
2024-07-03 07:35:11Z
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