WHOのテドロス事務局長=ロイター
【ジュネーブ=細川倫太郎】世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は11日、世界で感染が広がる新型コロナウイルスについて「パンデミック(世界的な大流行)に相当する」と表明した。感染は約120カ国・地域に拡大し、累計の感染者数は12万人を超えた。未知のウイルスは人々の暮らしや企業活動に影を落とし、世界経済への打撃も懸念されている。
WHOがパンデミックと認定したのは、2009年に流行した新型インフルエンザ以来11年ぶり。中国以外での感染に歯止めがかからない事態を重く見た。死者は4300人に達した。
当初、中国以外の感染比率は約1%だったが、現在は3割以上に上昇している。イタリアが最も多く、次いでイラン、韓国と続く。最近はフランスやスペイン、米国など欧米での増加が顕著だ。衛生状況が悪く医療体制が不十分なアフリカの途上国でも患者が増えており、WHOは危機感を募らせている。一方、中国では新たな感染者は大きく減っている。
新型コロナは世界経済に重くのしかかる。各国で渡航制限やイベントの中止や延期が相次ぎ、金融市場の波乱も続く。国際通貨基金(IMF)は20年の世界経済の成長率予測について、金融危機直後の09年来、11年ぶりの低成長になる可能性を示している。
新型コロナは19年12月に中国湖北省武漢市で初めて感染が確認され、中国を中心に急速に広がった。WHOは1月30日に「国際的に懸念される公衆衛生の緊急事態」と宣言。その約1カ月後の2月28日には、世界全体の危険度を4段階で最高レベルの「非常に高い」に引き上げた。
WHOのテドロス事務局長=ロイター
2020-03-11 16:33:28Z
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