干上がったフォルサム湖(2021年5月22日、カリフォルニア州)。
AP Photo/Josh Edelson
- 世界気象機関(WMO)は、世界の気象災害の中で、干ばつが最も多くの死者を出してきたと指摘した。
- 8月31日に公表された最新レポートは、気象災害が増加しているものの、死者数は減っていると報告した。
- 死者数の90%以上は途上国の人々が占めている。
世界気象機関(WMO)が8月31日に公表したレポートによると、過去50年の世界の気象災害による死の一番の原因は干ばつだった。
国連機関であるWMOのレポートは、過去50年の1万1000件以上の気象災害を分析し、特に多くの死者を出した干ばつの事例として、1970年代と1980年代にアフリカ東部で起きた4件を挙げた。過去50年で、干ばつによって65万人が死亡した。干ばつの次に多くの死者を出したのは嵐で、57万5000人以上が犠牲となった。
気象災害は今、1970年代に比べて5倍の頻度で発生しているものの、災害で死亡する人の数は大幅に減ったとレポートは報告している。
1970年代と1980年代は、平均して1日あたり170人が死亡していたが、1990年代には90人に減った。2010年代に入って、気象災害で死亡する人の数は1日あたり40人となっている。
こうした死者数の90%以上は、途上国の人々が占めているという。
一方、WMOのレポートによると、こうした災害によってもたらされる経済的なダメージは過去50年で7倍に増えた。その中でも、経済的な被害が大きかった災害のワースト6は全てアメリカのハリケーンが占めていて、その損失額は合計で5170億ドル(約56兆9000億円)以上にのぼった。
「気候変動の結果として、異常気象などによる災害の件数は増えていて、世界の多くの場所で今後、より頻繁かつ深刻になるだろう」とWMOのペッテリ・ターラス(Petteri Taalas)事務局長はコメントした。
「つまり、ヨーロッパや北米で近年見られているような熱波や干ばつ、森林火災が増えるということだ。大気中の水蒸気が増えていて、これが異常降雨や致命的な洪水をさらに悪化させている。海水温の上昇が最も激しい熱帯低気圧の発生頻度や存在する領域に影響している」
ターラス事務局長は、さまざまな災害の早期警報システムの向上によって、国際社会は多くの人々の命を救えるようになったものの、こうしたシステムを実際に持っているのはWMOの加盟国193カ国のうち半数のみだと述べた。
[原文:Droughts have killed the most people in the world's worst natural disasters over the last 50 years]
(翻訳、編集:山口佳美)
からの記事と詳細 ( 50年で65万人が死亡… 世界で最も多くの死者を出した気象災害は「干ばつ」だった - Business Insider Japan )
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