先の衆院選の比例代表東京ブロックで、立憲民主、国民民主両党に案分される「民主党」と書かれた票が28万3783票に上ったことが、本紙の集計で分かった。両党はともに、投票用紙に書く略称を「民主党」と総務省に届け出たため、得票に応じて振り分けられることが事前に固まっていた。総数は社民党などの得票数を上回る規模で、公正な選挙への疑義が生じかねず、専門家は制度改善の必要性を唱える。(市川千晴、柚木まり、大野暢子)
東京都選挙管理委員会は都内全体の「民主党」票の総数を発表していない。このため、本紙が都選管への取材や区市町村が公表した開票結果などを基に「民主党」票を足し合わせた。
案分の結果、立民に22万9401.17票、国民に5万4381.76票が振り分けられた。開票作業に当たった区市町村が、開票区ごとの両党の得票に応じて上乗せし全体を合計した。
比例東京ブロックは、1議席を獲得したれいわ新選組の得票が約36万票。国民の得票は、振り分けられた「民主党」票を入れて約30万票となったが、議席は得られなかった。
都内の投票所では、記載台に掲示された政党一覧表に略称の「民主党」が2つ並んでいた。有権者は、立民、国民のどちらかに票を投じたケースが多いとみられる。仮に正式な党名を書いていれば、各党への議席配分が変わった可能性もある。港区選管によると「どうして隣同士で同じ略称なのか。おかしい」「投票し直したい」といった問い合わせが相次いだという。
公職選挙法は、正式な党名が略されていることを条件に各党が略称を届け出ると定める。重複の禁止規定はない。今回は立民、国民の双方が「民主党」を提出し、そのまま認められた。総務省は衆院選公示後の10月22日に、「民主党」票は両党に案分されると都道府県に通知した。同省は「略称(の重複)は政党の問題。制度の議論は国会でお願いしたい」と話す。
文教大の上ノ原秀晃准教授(政治行動論)は「立民、国民両党は選挙協力をするなら略称を調整すべきだった。略称を受け付ける総務省が(調整に)関与すべきかどうかは、政治活動の自由とも関わるので難しい問題だ」と指摘。「根本的な原因は、海外にほとんど例のない自書式の投票制度にあり、記号式に変更するなど投票方法を改善すべきだ」と指摘する。
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2021-11-07 21:00:00Z
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