富山の知られざる日本一の背景に迫る「どうして富山が日本一?」。
今回は、人口あたりの火災の件数「出火率」。
富山県は長年、全国で1番低い、つまり人口あたりで最も火事が少ない県をキープしている。
その背景を取材した。
出火率の低さの要因とは…
消防庁の消防統計によると、人口10万人あたりの出火件数「出火率」は、2020年に富山県は1.63で全国最小だった。
全国最小は、1991年から30年連続。
富山県で火事が少ないのはなぜなのか。
私立学校の片山学園では、秋の火災予防運動期間に、消防署と合同での消防訓練が始まるということで、参加者にその理由を聞いてみた。
学校で火災が発生し、生徒が1人逃げ遅れたという想定で、教師による応急救護訓練も行われ、緊迫感のある救助の様子に生徒たちも真剣なまなざし。
火災予防についての意識が高まったところで、「なぜ富山は出火率が低いのか」、生徒の考えを聞いた。
中学生:
日ごろから火の元を確認するという姿勢が、(出火率が)1番低い理由だと思っている
高校生:
防火意識向上に向けた取り組みや、そもそもの富山県民の防火意識の高さ、こういったものが出火率の低さにつながっている
高校生:
消火器や火災報知器を設置したり、対策を日ごろから(富山県民は)していると思う
ちなみに、住宅用火災報知器の設置率は、富山県は全国20位。
火災予防の設備を、ひときわ充実させているというわけではなさそう。
消防署の見解は…
大山消防署 消防司令長・松原俊浩さん:
日ごろから学校や事業所で訓練を行っていて、防火意識が高い。あとは、小学校で「少年消防クラブ」に参加してもらっている
少年消防クラブで培う“防火意識”
少年消防クラブとは、子どものころから火災予防の勉強や研究をし、大人になっても防火に努めてもらおうと、消防庁が推奨する自主的な防火団体。
小学生や中学生で組織される。
富山県は、人口に占める少年消防クラブのクラブ員の割合が、1位の愛知県とほぼ並んで全国2位。
消防団員の割合の23位に対して、かなり上位。
出火率の低さは、子どものときから培われる防火意識の高さによるものなのだろうか。
富山市の浜黒崎小学校の少年消防クラブを訪ねた。
こちらの学校では、毎年6年生全員が少年消防クラブに加入している。
2021年は総合の時間に、クラブの活動として学校の近くにある松並木、「古志の松原」での火災を防ぐための対策を考えた。
児童は、ここによく捨てられているたばこの吸い殻の火が松の葉に燃え移ると、一気に燃え広がるおそれがあることを学び、それらを回収する活動を続けるとともに、防火を呼びかけるポスターを作った。
児童:
地域の火災が、少しでもなくなればいいなと思って(取り組んだ)
児童:
家でもしっかり火の始末をしながら、生活していきたい
浜黒崎小学校 防災担当・島野徹教師:
その学年でやると決めれば、その学年が1年間、少年消防クラブの活動ということでやっていく。昔から富山市では(少年消防クラブを)行っていた
富山市消防局によると、富山市で最初に少年消防クラブができたのは1950年。
これは、東京の最初のクラブよりも1年早い、全国に先駆けての結成だった。
なぜ全国でいち早く結成されたのか。理由は定かではないが、今では富山市や高岡市、射水市などでは、全小学校の一定の学年の児童が全員加入しているそう。
同居率や木造建築の割合の高さも一因に
日本で唯一の火災に特化した研究機関、東京理科大学の火災科学研究所で、火災の予防や原因について長年研究している松原美之教授は、出火率が低い要因について、防火教育に加え、3世帯の同居率の高さに着目する。
東京理科大学火災科学研究所・松原美之教授:
お年寄りは1人で暮らしていて、出火原因を増やすという要素もあるが、みんなで暮らしていると、お互いに補いあって出火率を抑えている。3世代同居によって、高齢化のデメリットを抑えて、持ち家率も高く、防火意識の向上につながっているというのが富山の特徴ではないか
富山が出火率全国最小になる1991年までの順位の推移は、1966年では全国36位だったのが、10年後には常にベスト10に入っている。この60年代から70年代に、他県に比べてひときわ火事が起こりにくくなっている。
少年消防クラブが富山市で最初にできたのが1950年のため、防火教育をしっかり受けた子どもがこのころに大人になって、火事の発生率を低く抑えたという見方もできるかもしれない。
松原教授によると、ほかにも木造建築の割合の高さが、何としても火事を起こさない、家を守るという意識につながり、出火率の低さの要因になっている可能性があるということだった。
(富山テレビ)
からの記事と詳細 ( 富山県は30年連続“最も火事が少ない県” その背景には何が?…少年消防クラブで培う防火意識も一役 - www.fnn.jp )
https://www.fnn.jp/articles/-/274964
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