【モスクワ=工藤武人、ワシントン=田島大志】ロシアがウクライナ侵攻を始めてから3日で1週間が過ぎ、戦線と被害が拡大している。ロイター通信などによると、ロシア軍は2日、ウクライナ南部の拠点都市ヘルソンを制圧し、3日には首都キエフ近郊にある病院や高層住宅が密集する地区をミサイルで攻撃した。停戦に向けた双方の2度目の協議は3日に開催する予定だが不透明な状況だ。
ヘルソン市長は2日夜、SNSで、露軍が市庁舎に入り、ウクライナ軍は市外に撤退したと伝えた。へルソンは人口約30万人で、主要都市が陥落したのはこれが初めてだ。
米紙ニューヨーク・タイムズによると、露軍は市内に軍政を敷くと表明しており、一時的な掌握ではなく占領を意図している可能性がある。
ヘルソンはドニエプル川に面している。ロシアは2014年に併合したクリミアの水不足を解消する通水の拠点として、侵攻作戦ではへルソンを重視し攻略を続けてきた。
東部ハリコフでは住宅や行政機関など非軍事施設の被害が拡大し、露軍は2日も住宅街へのミサイル攻撃を続けた。郊外の地区も標的になり、子ども2人を含む8人が死亡した。
キエフでは南部の駅が砲撃された。
こうした状況について、バイデン米大統領は2日、露軍が民間人を標的に攻撃しているとの認識を示した。
米国防総省の高官は2日、キエフに向かって南下する露軍の車列が、ウクライナ軍の抵抗などのため停滞していると指摘した。
一方、露国防省は2日、侵攻によるロシア側の戦死者を初めて発表し、498人であると明らかにした。2008年のジョージア(旧称・グルジア)侵攻の戦死者は67人だった。プーチン政権がこれまでに行った国外での軍事行動と比べて、今回の犠牲者数は突出して多くなっている。
ロシアとウクライナによる2度目の停戦協議について、ロシアは3日にベラルーシ南西部ブレスト州で開かれるとの見通しを示した。しかし開催場所を巡る調整が難航した模様だ。
2022-03-03 11:56:00Z
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