中国は南シナ海からヒマラヤ山脈に至るまで、領有権を争う地域や海域の支配を強化する口実として、相手が失敗したと見れば付け入る意思を示してきたが、台湾周辺でも今やその手法を展開している。
中国人民解放軍は、ペロシ米下院議長の台湾訪問に反発して実施した一連の軍事演習を通じて、台湾の「新たな現状」を定着させることを目指したようだ。
台湾の呉釗燮外交部長(外相)は9日の台北での記者会見で、中国がペロシ氏の訪台を軍事演習を行う口実に利用したと主張。中国の軍事活動は台湾の権利を侵害し、国際法に違反するものであり、中国が台湾海峡の現状変更を目指していると批判した。
同外交部長はその上で、中国に介入や現状変更の権利はなく、軍事演習が目前で実施されても台湾は平静を失っていないと述べた。
軍事演習では、台湾海峡の中間線を越えて中国軍機や軍艦が頻繁に台湾側に進入し、台北上空にミサイルを発射した可能性も高く、定義は曖昧ながら、数十年にわたり平和を保ってきた緩衝地帯が縮小する事態となった。
中国が設定した台湾に最も近い最も挑発的な演習区域は8日までに解消されたが、中国の習近平国家主席は、台湾にますます近い海空域での作戦行動の様式(テンプレート)を提示した格好だ。3日から7日にかけて120機余りが中間線を越えて進入した後、台湾国防部(国防省)は8日も台湾周辺で戦闘機や戦艦を確認したと報告した。
マサチューセッツ工科大学(MIT)安全保障研究プログラムの責任者、テイラー・フレイベル教授は「中国による今週の行動のこれまでと異なる要素が、恐らく一層日常的になるだろう。台湾周辺における中国の軍事的プレゼンスの性質という意味で、ニューノーマル(新常態)ないし新たな現状が存在する」と指摘した。
そのような中国の戦略は、緊張をさらに高めることなく中国に自制を促す対応を練るよう米国側に迫る一層大きな圧力となる。
1995-96年の台湾海峡危機の際、当時のクリントン米大統領は空母2隻を海峡に派遣したが、中国が世界最大の艦隊規模を誇り、対艦ミサイルの膨大な備蓄も持つ現状は、米国の艦艇による沿岸近くの作戦行動のリスクを高める。
台湾の国策研究院文教基金会の郭育仁氏は「戦艦を派遣し、中間線を越えることにより、国際水路としての海峡の位置付けを否定しようとする中国側の試みは、現状を変更する新たな企てだ。国際社会が容認し難い深刻な影響をもたらすだろう」との見解を示した。
原題:China Seizes on Pelosi Visit to Set ‘New Normal’ for Taiwan、Taiwan Says China Using War Drills to Plan a Future Invasion (1)(抜粋)
(台湾外交部長の発言を追加して更新します)
2022-08-09 01:14:16Z
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