北アフリカ・リビアで発生した洪水で、被害が特に大きかった東部の港湾都市デルナの市長は13日、死者が2万人に上る恐れがあるとの見方を示した。
地中海に面したデルナの市長は、人々が寝ている時間に二つのダムが決壊し、津波のような激流が押し寄せたと、サウジアラビアのテレビ局「アル・アラビア」に説明。1万8000~2万人が死亡したとみていると述べた。
そして、この人数は、洪水で破壊されたコミュニティーの数に基づく推定だとした。同市の人口は約10万人。
被災地ではがれきの下や海の中に収容されないままの遺体が残っており、病気のリスクが高まっている。
国連は、井戸が汚染されているとし、汚染水による病気の危険性について警告を発している。
リビア東部を統治している政権のヒシャム・チキウアト大臣は、「常に何十体もの遺体が海に打ち捨てられている状態だ」と述べた。
被災地では、遺体が収納袋に入れられて地面に置かれたり、集団墓地で埋葬されたりしている。より多くの人道的支援を求める切実な声が高まっている。
救助隊は倒壊した建物のがれきを掘り起こすなどしているが、生存者発見の希望は失われつつある。死者数は今後さらに増えるとみられている。
国連の国際移住機関(IOM)は13日、洪水による行方不明者は少なくとも1万人に上り、家を失ったとみられる人は3万人に達するとした。
遺体安置所や病院は遺体であふれかえっている。
デルナ近郊の病院で働くリビア人医師ナジブ・タルホニさんは、さらなる支援が必要だとBBCラジオ4の番組「ワールド・アット・ワン」で述べた。
「ここの病院には友人もいるが、みんな家族のほとんどを失っている。(中略)すべてを失っている」
「私たちは、この状況を理解している人々が必要だ。物流支援や、においで人を見つけて地面の下から救助する犬が必要だ。人道的な支援、自分たちの行動をちゃんと理解している人々が必要だ」
これまで、エジプト、トルコ、カタールなどからの救助隊がリビア入りしている。
ダムは危険視されていたとの証言も
リビア医師組合トップのモハメド・アル=グーシュさんは、検視や救助の専門家チームを緊急に必要としていると、トルコのメディアに話した。
国境なき医師団(MSF)は、緊急チームが14日にデルナに入るとしている。「医療ニーズを把握し、緊急医療キットと遺体収納袋をリビア赤新月社に寄贈する」という。
デルナでは、通りが泥とがれきに覆われ、ひっくり返った車が散乱している。
同市は10日からの豪雨で、二つのダムが決壊したほか、四つの橋が破壊され、街の大半が浸水した。
同市で暮らすフォトジャーナリストのタハ・ムフタさんは、専門家たちが2011年からダムについて警鐘を鳴らしてきたにもかかわらず「誰も何もしなかった」と、BBCの番組「ニューズアワー」で語った。
ムフタさんによると、ダムが崩壊した時、「空爆のような」音がしたという。
リビアサッカー連盟(LFF)は、今回の洪水で多くの一流選手が死亡したとし、兄弟を含む選手4人の名前を公表した。
スーサ、アル・マルジュ、ミスラタなどの都市でも被害が出ている。
産油国のリビアは、長年の最高指導者だったムアンマル・カダフィ大佐が2011年に失脚・殺害されて以降、政情の混乱が続いている。現在は、国際的に承認されている暫定政府が首都トリポリと西部を統治し、東部は別勢力が掌握している。
しかしこうした分裂にもかかわらず、トリポリの暫定政府は医薬品や遺体収納袋、医師や救急隊員を被災地に送っている。
2023-09-14 08:37:30Z
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