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Sunday, June 28, 2020

コロナ死者4万人を超えたイギリスで、最も被害を受けているのは子どもたちだった(HARBOR BUSINESS Online) - Yahoo!ニュース

コロナで子どもたちが甚大な被害を受けている

 イギリスでは新型コロナウイルスによる死者数が約4万人と、アメリカ・ブラジルに次いで世界第3位、ヨーロッパでは最悪の状況となっていて、3月23日の外出禁止令以後、現在も引続きロックダウンの状況にある。  政府は5月中旬に段階的なロックダウン解除計画を示していて、6月1日から小学校の一部の生徒が学校に戻れるようになり、6月中旬からは小売店も営業を再開した。しかし全生徒の学校復帰の目処は立っておらず、生活の通常化にはほど遠い。  すべての人の生活に影響を与えた新型コロナウイルスだが、中でも「弱い立場の子どもたちが甚大な被害を受けている」とイギリスのNGOが警告。もともとイギリスでは、子どもに関わる予算が年々減らされていた中、「新型コロナ流行によりその傷口が大きく広がった」と指摘されている。  コロナ禍は、貧困など支援の必要な子どもたちを新たに出現させ、さまざまな緊急ニーズを増大させた。その一方、サポートする政府とNGOセクターはキャパシティ不足に陥り、深刻な需給ギャップが生じているためだ。イギリス大手NGOに勤めるW氏の話を交えて、見ていきたい。

子どもの貧困対策に効果の高い「早期介入」への支出が激減

 イギリスでは、子ども全体の30%にあたる420万人が貧困の状況にある。こう書くと、日本の子どもの貧困率13.9%に比べて非常に高い数値のように思えるが、イギリスでは日本より厳しい貧困率の計算方法を採用している。同じ計算方法で引き直すとイギリスの貧困率は12.9%となり、日本より若干低い。  このイギリス基準において、 2000年以降、子どもの貧困率は概ね30%の横ばいを続けて変化がほとんどない一方、子ども・若者政策への支出が年々削減されているという批判が、NGOから政府に対してなされてきた。  2011年度と2018年度を比較すると、96億ポンドから74億ポンドと、22億ポンド(約3000億円)も減少している。中でもNGOが着目するのは、子どもの貧困対策に非常に効果が高いとされる「早期介入」への支出がこの間46%も減少したことだ。 「早期介入」とは、子どもが急速に成長する幼少時に問題のある家庭に関わっていくことが、子どもの発達にとって最も効果的であり、その後起こりうるさまざまな問題を防ぎうるという研究結果に基づく施策である。  例えば、大手NGOの調査によると「貧困家庭の3歳児は、そうでない子どもより言語能力や数字に関する能力が1歳ほど劣っていて、その後も決して追いつくことができない」(W氏)という。  同団体は早期介入の効果に着目し、8歳以下の子どもたちに焦点にあてて活動している。しかし、政府も早期介入の効果を認め施策に組み込んでいるものの、予算全体のパイが大幅に縮小する中で、「後期介入」といわれる少年犯罪や子どもの保護に関わる支出が過半を占めている。本来もっと支出すべき「早期介入」にコストを割けず、子どもの貧困率もここ10年ではまったく改善しなかった。

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