河野太郎行政改革担当相がはんこ廃止や脱ファクスなど慣例打破を矢継ぎ早に打ち出している。規制改革を柱に掲げる菅政権の意に沿って、得意の会員制交流サイト(SNS)も生かして迅速な対応をアピール。一方で方針に従わない職員への異動を示唆するなど強権的な姿勢も見せており、危ぶむ声も出ている。 「こんなものさっさとやめたらいい」。河野氏が9月16日の就任後、最初にかみついたのは新閣僚が官邸で行う記者会見だった。深夜まで及ぶ慣例に「前例主義の最たるもの」と不満を募らせ、その後、文部科学省職員による副大臣の深夜の出迎えには、「ヤメレ」と自身のツイッターで批判した。 行革相は2回目だが、今回は菅義偉首相が「ど真ん中」と位置づける規制改革を平井卓也デジタル改革担当相と両輪で担う。周囲には「俺はブルドーザー役だ」と語り、「壊し屋」を自任する。 デジタル化に向けては、まず「行政手続き上のはんこ廃止」に着手。9月中を期限に各省庁に求めた実態調査について、1日には「印鑑を求める手続きは約800種類で、かなりの部分は廃止できる」と説明。徐々にファクスや紙の使用もやめていく考えも示した。 ただ、勢いに任せて修正を迫られたケースもある。自身のサイト上に設けた行政改革などのアイデアを募る目安箱「縦割り110番」はわずか1日で募集を停止。4千件以上の相談が殺到して処理能力を超えたためで、内閣府に元々あった「規制改革・行政改革ホットライン」に「縦割り110番」を付して移行した。 脱はんこには、全国有数の印章産地である山梨県の長崎幸太郎知事が「はんこが社会に害悪をなすと誤った認識が広まるのは甚だ迷惑」と反発。河野氏は訪問先の札幌市で全日本印章業協会の徳井孝生会長と面会し、「はんこ文化を振興していくお手伝いはしていく」と釈明した。
強硬姿勢に懸念の声も
放送規制改革を巡っては、ネット配信に慎重な文化庁の職員に「やる気がなければ担当部署変更もあり得る」と迫るなど、強権的な一面ものぞかせた。首相と同じ神奈川県が地盤で、関係も良好な河野氏には「ポスト菅」との呼び声もあるが、自民党内からは「周りを見て調整してうまくやるのが政治。あまりにも無駄、非効率とやれば霞が関の役人からしっぺ返しをくらう」(ベテラン議員)と、懸念する声も出ている。(古田夏也)
2020-10-01 23:47:01Z
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