【ワシントン=河浪武史】米大統領選で当選を確実にしたバイデン前副大統領(民主)は30日、次期財務長官にジャネット・イエレン米連邦準備理事会(FRB)前議長(74)を指名すると発表した。ホワイトハウスの経済チームは女性が主導し、新型コロナウイルス禍で傷んだ労働市場の立て直しを急ぐ。
財務長官ポストは連邦議会上院の承認が必要になるが、イエレン氏は初の女性の登用となる。同氏はFRB議長を2014年から4年間務め、国内外の金融界だけでなく、ワシントンの政界でも豊富な経験を持つ。バイデン氏の指名を受けて、同氏は同日のツイッターで「米国は試練に直面している。個々人が潜在能力を発揮できるアメリカン・ドリームの修復が必要だ」と主張した。
歳出入の基本計画を策定する米行政管理予算局(OMB)局長には、左派系シンクタンク「アメリカ進歩センター」のニーラ・タンデン所長を起用する。ホワイトハウスのチーフエコノミストとなる米大統領経済諮問委員会(CEA)委員長には、米プリンストン大の労働経済学者、セシリア・ラウズ氏を充てる。
タンデン氏、ラウズ氏とも女性で、バイデン体制の主要経済チームは女性が主導することになる。タンデン氏は急進左派が主張してきた国民皆保険や、再生エネルギーへの大規模投資計画「グリーン・ニューディール」などを支持。バイデン体制は、社会保障給付やインフラ投資などによる「大きな政府」に一段と傾きそうだ。
バイデン氏は財務副長官にウォーリー・アディエモ氏を充てる人事も発表した。同氏は黒人で、オバマ政権時代には大統領副補佐官として環太平洋経済連携協定(TPP)など国際経済分野を担当した。黒人としては初めての財務副長官となる。
バイデン体制が経済チームの主要ポストに女性や黒人を登用するのは、新型コロナによる雇用悪化が女性やマイノリティーに一段と重くのしかかっているためだ。
10月の雇用統計をみると、女性(20歳以上)の労働参加率は57%と1年間で2ポイントも下がり、男性(同、70%)との差が一段と広がった。学校再開の遅れなどで家族の世話が必要になり、職場復帰できない女性が増えている。黒人の失業率も10.8%と白人(6.0%)の2倍近い水準で高止まりしており、マイノリティーの不満が蓄積する。
バイデン氏は30日にコメントを発表して「このチームは経済危機下にある米国民に対し、即座に救済策を用意するだろう」と表明した。さらに「すべての米国人が、成功に向けた機会を平等に得られるようにする」とも主張。新体制の経済政策は、格差是正に焦点を当てる考えを強調した。
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2020-11-30 16:27:12Z
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