世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との深い関係が次々と発覚する中、24日に事実上更迭された山際大志郎経済再生担当相。「説明が後追いになった」と反省の弁を述べたが、選挙区のある神奈川では「辞めるのは当然」「遅きに失した」と怒りや失望が渦巻いた。旧統一教会信者の親のもとで育った「宗教2世」からは首相の任命責任を問う声も上がった。
◆「旧統一教会と縁を切らないと100%落選」
報道が駆け巡った同日夜、山際氏の地元・衆院神奈川18区。川崎市高津区のJR武蔵溝ノ口駅に近い山際氏の事務所は人の気配もなく、静まりかえっていた。近くを歩いていた同区の男性(63)は「惜しいが仕方ない。けじめだからね」と一言。長年自民党を支持してきたという同区の女性(65)は「山際氏は言うことがはっきりしない人でなぜ大臣になれたのか疑問だった。辞めるのは当然。自民党にもがっかりした」と突き放した。
地元有権者でつくる「神奈川18区市民の会」は山際氏の大臣罷免と議員辞職を求め、今月末から署名活動を始めるとしていた。事務局長の田中光雄さん(77)は「遅きに失した。近所の人も『18区の恥だ』『辞めてほしい』と怒っていた」と批判した。
山際氏の支援団体「大志会」代表の持田文男神奈川県議は「大臣として実力を発揮してもらいたかった」と残念がった。地元支援者向けに10月上旬に予定されていた説明会は「多忙」との理由で延期されていたという。「支援者の中でも『あのような答弁はないんじゃないか』という人がいた。大臣をやめたから、ではなく、早めに説明する機会を持つべきだ」と注文した。
自民県議の一人は「地元からも『旧統一教会との縁を切らなきゃ(山際氏は)100%落選する』という声が上がっている」と指摘。自民党県連の梅沢裕之幹事長(県議)は「政治家として判断したのだろうが、なぜこのタイミングなのか分からない。統一地方選にも影響があるだろう」と困惑した様子だった。(渡部穣、竹谷直子、志村彰太、安藤恭子)
◆「登用し続けたこと自体が異常」
山際経済再生担当相が事実上更迭されたことを受け、「宗教2世」からも批判や疑問の声が噴出した。
両親が共に信者の40代女性=東京都=は「ようやく当然の対応をした。関係をごまかした議員が閣僚を務め、政権が登用し続けたことがそもそも異常だった」と指摘。女性は、教団のイベントに閣僚経験者ら大物議員が参加する姿を何度も目にしてきた。「政治家が教団の活動にお墨付きを与え、伝道活動も手助けしてきたと言える。関係した政治家は議員を辞職すべきだ」と強調する。
一方、当事者として2世救済に取り組む高橋みゆきさん(仮名)は「政治家の追及ばかりが注目されると、被害防止と救済という問題の本質が見失われてしまう」と懸念する。「今国会中に、高額献金だけでなく2世問題の対策を急いでほしい」と訴えた。(太田理英子)
◆山際氏釈明「深い関係はなかった」
「外部から指摘され、それを説明する後追いの形になってしまい、政権に迷惑をかけた」。旧統一教会問題で追い詰められた山際経済再生担当相は24日夜、岸田文雄首相への辞表提出後、首相官邸で約10分間、記者団の取材に応じた。
黒っぽいスーツにマスク姿で現れた山際氏。「当該団体の会合に出席したことが信用を与えるような結果となった」などと反省の弁を淡々と述べる一方、「この団体と深い関係がなかったので説明ができなかったのは事実だ」と釈明した。
この日の辞任となった理由を問われると、「これからの国会審議に障らないようにするべきだと考えた。このタイミングを逃すわけにはいかない」と強調した。
岸田首相も山際氏に続き、官邸で記者団に囲まれた。事実上の更迭だが、「(山際氏が)自ら辞職を申し出た」と繰り返した。任命責任については「当然感じている。今後の審議、職責をしっかりと果たすことによって責任を果たしていきたい」と語った。(浜崎陽介、小川慎一)
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2022-10-24 21:00:00Z
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